私の中では“家族”に夫婦生活は含まれていなかった
大学時代から付き合い、7年間もの交際期間があったのは遠距離があったから。大学卒業後に元夫は東北の職場に配属され、関西に戻ってきたところで籍を入れた。遠距離の間も大きな揉め事はなく、「結婚生活もその延長線上にあるものだと思っていた」と律子さんはいう。
「遠距離の期間は大型連休と、他に1~3か月に一度のペースで会っていました。お互い社会人だったからそのぐらいは融通できたんです。その間も、付き合っている期間はずっと体の関係はありました。そんなに会えないからこそその時間を大切にしていたほど。結婚してもそれは変わらないと思っていました。
でも、一緒に暮らす家族としての生活の中に、性行為を考えてなかったんです。考えることを避けていたというほうが正しいかもしれません」
平日はお互いに仕事があるため別々のペースで暮らすことを決めていたため、タイミングを無理に作る必要はなかった。そして休日は平日にできなかった家事を一緒にしたり、1人のプライベートの時間を互いに楽しんだり。その中で誘われることも誘うこともなかったが、それが律子さんには心地よかった。
「お互いマイペースなところがあって、結婚したからって無理に合わせるのはやめようと結婚前に話し合っていたんです。今まで生きてきたペースもあるし、仕事の繁忙期も違うから。その分、休日には2人でゆっくりする時間を作っていました。一緒に家事をして買い物に行ってと、両親や弟ともしていたことを繰り返しするようになって、これが家族なんだなって思ったら、夫婦生活の入り込む部分がなかったという感じです。
夫も誘ってくることはなかったので、セックスレスだったんでしょうけど、ないのが普通みたいな位置付けになっていました」
しかし、夫の内心は不満が溜まっていく一方だった。夫婦生活について話し合いをして、決め事になったとき、苦痛から律子さんは嘔吐を繰り返すようになった。
【~その2~に続きます】
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。