関係が近いからこそ、実態が見えなくなる家族の問題。親は高齢化し、子や孫は成長して何らかの闇を抱えていく。愛憎が交差する関係だからこそ、核心が見えない。探偵・山村佳子は「ここ数年、熟年夫婦、そして我が子や孫を対象とした調査が激増しています」と語る。この連載では、探偵調査でわかった「家族の真実」について、紹介していく。

***

今回の依頼者は、東京近郊に住む専業主婦の真理子さん(60歳)です。「結婚35年になる主人(64歳)に不審点を問い詰めたら、夫婦不仲になってしまった」という相談です。

「教育を仕事にしたい」エリートの地位を捨て教師に

カウンセリングルームに来た真理子さんは、「いかにも先生の妻」という雰囲気の真面目そうな女性でした。セットされたヘアスタイル、シンプルで落ち着いたデザインのワンピース、よく手入れされた黒のハンドバッグを持っています。

筋トレが趣味というだけあり、60代には見えない引き締まった体つきをしています。

「私と主人は、大手の電気機器メーカーで知り合いました。主人は一流大学を卒業し、社長の親戚だったので、とにかくモテていました。私は短大卒の可もなく不可もない一般職。主人は専務の娘と結婚するという噂も立っていたのです」

写真を見せていただくと、「女性にモテていた」という面影が残る笑顔の男性が写っています。お腹も出ているし髪の毛も薄いのに、清潔感があり優しそう。人懐っこそうで、品の良さも漂っています。

「主人は親の命令で民間企業に入ったのですが、本当は小学校の先生になりたかったのです。アメリカ留学時代に、“国を変えるのは教育だと思い、道を志したけれど親に反対された”と言っていました。でも、どうしてもその道をあきらめきれず、入社2年目に退職。教員採用試験に合格し、念願の学校の先生になったのです」

そのときに、「夢がかなっておめでとう」とお祝いのボールペンを持って行ったのが、真理子さんだった。

「経営者の親戚の社員ではなくなってしまった彼に対して、周囲の人々は冷たかったみたいです。でも私は純粋に嬉しかった。そこからなんとなくデートをするようになり、数年間交際して結婚しました。主人の実家は勝手に教師になってしまった息子に対してカンカンで、ウチの長女が生まれるまで、主人と実家は10年ほど音信不通だったんです」

水を得た魚のように働き、夫はみるみる地位を上げて、校長先生になった。子供のことを第一に考えて行動し、保護者からも支持される。

「その弊害もあり、どこに行っても知り合いに会うんです。知床旅行で“あ、先生だ!”と見知らぬ中年夫婦から声をかけられ、沖縄の離島の民宿のバイトさんから“〇〇小の校長先生ですね”と大騒ぎもされました。そのたびに主人は仕事のスイッチを入れては、ドッとつかれていましたね」

【いい先生を演じていたのではないか……次のページに続きます】

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