JRの普通列車・快速列車が1日乗り放題になる「青春18きっぷ」をご存知でしょうか? 上手に使いこなせば、鉄道の旅をたっぷりと楽しむことができます。そこで、『おとなの青春18きっぷの旅 至高の列車紀行』(宝島社)から、青春18きっぷを使ってめぐる1泊2日の「伊勢参り」の旅をご紹介します。
写真/佐々倉実
【1日目】
伊豆最強のパワースポット「三嶋大社」を参拝し、地元グルメも堪能
1日目は、東京から東海道本線に乗車して名古屋に向かうルート。今回の旅では三嶋大社と豊川稲荷に立ち寄るが、身延線に乗り換えて富士山本宮浅間(ほんぐうせんげん)大社に行ったり、徳川家康を祀る久能山東照宮に行ったりするのもおすすめだ。
東海道本線は列車の本数が多いので、鈍行旅に慣れていない人でも行きやすいルートである。三島までは2時間ほどで到着し、三嶋大社までは歩いて15分ほどで行ける。レンタサイクルを利用して、市内を1周するのもよい。
三嶋大社(三島大社)は、伊豆に流された源頼朝が源氏の再興を祈願した神社で、その後に頼朝が平氏を滅ぼして幕府を開いたことから、伊豆最強のパワースポットの呼び声も高い。境内には頼朝と妻・北条政子が腰掛けたと伝えられる「腰掛石」など、歴史を感じさせるスポットが多い。また、草餅をこしあんで包んだ「福太郎餅」も名物の1つである。
参拝だけなら1時間ほどの滞在でOKだが、せっかく静岡まで来たのだから、「炭焼きレストランさわやか」にも立ち寄っておきたい。看板商品のハンバーグはもちろん、厚切りにこだわるステーキも人気が高い。静岡県下に34店舗を展開し、三島駅の近くにも長泉店がある。
ただし、あまりの人気ゆえに待ち時間も長く、特に土日は要注意だ。まずは自転車を借りて長泉店に向かい、受付(発券)を済ませてから三嶋大社に参拝し、案内時間に合わせて再び長泉店に行くのも選択肢の1つだ。待ち時間や混雑状況はスマホでもチェックできるので、ムダなタイムロスが生じないようにしたい。
青春18きっぷ 移動ルート
【1日目〜2日目】
「伊勢参り」のあとは、伊勢うどんや赤福などの「伊勢グルメ」もおすすめ
三島を出発したら、東西に長い静岡県を横断して愛知県の豊川稲荷へ。静岡県内の東海道本線は車両数が3〜6両で、その割には乗客が多く、日中でも座席が埋まることがある。静岡県は熱海、沼津、静岡、掛川、浜松と中規模の都市が続くので、車内が空く区間が少ないのだ。また、首都圏の通勤電車によくあるロングシートの車両や、トイレが設置されていない列車も多く、青春18きっぷユーザーにとっては“難所”でもある。時間に余裕がない場合は、東海道新幹線を利用して「ワープ」してもよい。
豊橋で飯田線に乗り換えて豊川で下車し、参道を歩いた先に豊川稲荷の総門がある。鳥居があるので神社と勘違いする人もいるが、正式には「妙巌寺(みょうごんじ)」という曹洞宗の寺院である。日本三大稲荷の1つで、名物のいなり寿司もよく知られている。
2日目は名古屋から始まり、快速「みえ」で一気に伊勢市駅へ。伊勢神宮の参拝は外宮(げくう)( 豊受(とようけ)大神宮)、内宮(ないくう)( 皇大(こうたい)神宮)の順に行くのが古くからのならわし。外宮の御祭神である豊受大御神(おおみかみ)は、内宮で祀られる天照(あまてらす)大御神の食事をつかさどる。外宮は駅から歩いて行けるので、アクセスもよい。式年遷宮記念せんぐう館や神宮徴古館(ちょうこかん)など、伊勢神宮について学べる文化施設に行くのもおすすめである。参拝が終わったら、参道で伊勢うどんや赤福などの「伊勢グルメ」を楽しもう。
志摩(しま)半島の東部まで足を延ばし、参宮線の終点である鳥羽まで行くのもおすすめ。駅近くにある鳥羽水族館は飼育種類数が約1200種(日本最大)で、ジュゴンに会える日本唯一の水族館でもある。入館者の約8割が大人で、「質実剛健な水族館」とも評される。また、鳥羽は国内養殖真珠発祥の地でもあるので、ミキモト真珠島も訪ねておきたい。
ちなみに、日帰りでしか行けない場合は、新幹線などで名古屋まで移動して、そこから青春18きっぷを使って快速「みえ」に乗るという手段もある。名古屋―伊勢市間は片道2040円なので、往復するだけで1670円のおトク旅になる。この区間は近鉄のほうが安い(片道運賃1470円)が、青春18きっぷを使えばJRが逆転する。
青春18きっぷ 移動ルート
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『おとなの青春18きっぷの旅 至高の列車紀行』
宝島社