束縛は愛情表現の1つ。結婚前はそう思っていた
25歳のときに結婚を意識した男性がいたものの、久美子さんに不妊の原因が見つかったことが影響して破局。これが晩婚で良かったという理由になっているそう。
「私は昔から重い生理痛に悩んでいて、あまりに身動きが取れないほどの痛みで病院に行くと、子宮内膜症だとわかりました……。そこで、子どもを望む場合は最初から不妊治療をしたほうがいいと言われました。それを相手に伝えたんです。私はただ寄り添ってほしかっただけでした。でも、『俺は子ども欲しいからな~』とまったくの他人事で、私との結婚は考えられないと遠回しに言うような口ぶりで。そこですぐ別れるとはならなかったものの、徐々に不信感が大きくなり、別れることになりました。
20代で結婚していたら、子どもは複数人欲しいという思いを持っていただろうし、早々に普通に出産した姉とも比べられてしまうだろうなと思って。晩婚で良かったなと」
今の夫と出会った場所は婚活パーティー。結婚前提での出会いを選んだ理由は、「結婚するための出会いなら、最初に不妊のことを伝えられると思った」からだと言います。
「普通に出会った人に最初からそんな話をすると重いと思われそうだし、後から言うにはタイミングがわからない。だからお付き合いしましょうとなったタイミングで伝えられる婚活での出会いがいいと思いました。そこで出会ったのが今の夫です。彼は『子どもは絶対じゃない』と言いながらも、『不妊治療をするのであれば支えていきたい』と伝えてくれました」
結婚までは2年ほど付き合う中で束縛を受けることもあったものの、まだ許容できるレベルだったとのこと。
「『その日の予定を報告し合うこと』、『お互い異性の出会いの場には行かないこと』なんて、普通だと思っていましたし、逆に大事にされていると思っていました。
でも、結婚後に急にエスカレートしてきたんです。もちろん許容できないところは拒否しました。そしたら、夫の束縛を受け入れるようにと義母から説得を受ける異質な状況が出来上がったのです」
「義母にも干渉されるぐらいなら、夫からの要望を受け入れよう」。久美子さんの思考はどんどんおかしくなっていった。【~その2~に続きます】
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。