長い黒髪を1本に結んでてきぱきと働く

由紀さんが体調を崩すと、夫は自分の面倒を満足に見てくれる人がいないことにイライラして、周囲の人に当たったという。

「だからうつになっている場合じゃないんですが、何もやる気が起きないし、気力が湧かないんです。かといって、娘や息子は頼りにならない。そこで、夫のこともウチのこともある程度わかっている登紀子さんに事情を話して、来てもらうことにしました」

登紀子さんは、由紀さんと短大時代に飲食店のアルバイトで知り合った。最初に会ったときに、慕わしく懐かしいような印象があり親しくなった。そのうちに、母方のいとこだとわかったのだという。

「母には兄がいて、ほぼ絶縁状態だったので、私は登紀子さんの存在を知らなかったんです。そうとわかると、血がつながっている安心感もあって、どんどん仲良くなっていきました。結婚式にも来てもらったし、お産のときもずいぶん助けてもらいました。慣れない子育てを手伝ってもらったりね」

登紀子さんは若い頃から長い髪を後ろに束ねており、すらりとした体つきをした美しい女性だという。

「媚びているんじゃなくて、愛嬌がある。高校時代から芸能活動もしていて『スクールメイツ』に似ているグループに入っていたみたい。交際していた男性も、テレビ局員、政治家、音楽家、建築家など一流の人が多かった。結局、アメリカの人と結婚したのですが、向こうが子供を望んだので離婚しちゃったんですよ。それからは、年下のパートナーの男性と事実婚生活をしています」

登紀子さんは裕福なので、由紀さんが謝礼を払おうとすると、「水臭いじゃない」と固辞する。

「40年以上、いとこであり、お友達だったのに……。いろんなことを考えて、結果的に元気になりましたが、裏切られたという気持ちが強く、心は晴れません」

登紀子さんは、由紀さんの夫と関係を結んだのだ。

「夫と私はとっくに夫婦ではなくなっていたけれど、私に対しては、それなりに誠意を尽くしてくれると思っていました。あとは、お互いに自然消滅したとはいえ、私に対しては欲望を見せないのに、夫に男としての機能が残っているとは思わなかった。いろいろショックです」

【なぜ、美貌のいとこは、私の夫に手を出したのだろうか……その2に続きます】

取材・文/沢木文
1976年東京都足立区生まれ。大学在学中よりファッション雑誌の編集に携わる。恋愛、結婚、出産などをテーマとした記事を担当。著書に『貧困女子のリアル』 『不倫女子のリアル』(ともに小学館新書)がある。連載に、 教育雑誌『みんなの教育技術』(小学館)、Webサイト『現代ビジネス』(講談社)、『Domani.jp』(小学館)などがある。『女性セブン』(小学館)、『週刊朝日』(朝日新聞出版)などに寄稿している。

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