事業は安泰だが、高齢化した従業員が引退していく
夫が経営する会社は、内容が特殊なために、社員の身辺調査は慎重に行っていたとか。
「そうなんですけれど、現場で働いてくださる方が、どんどん高齢化していく。そして“お嬢様、今までありがとうございました”って辞めて行くんですよ。80代でも働いてくださっている方もいますが、時間の問題です。福利厚生を充実させたり、給料をかなり上げても、老いには抗えません。そこで、夫が若い人やシングルマザーなどを雇おうといい出した。夫は社会全体をよくするために、雇用を生み出したいということは常に語っていたんです」
首根っこを捕まえていた、智子さんの父はもういない。そこで夫は求人広告を出し、社長自ら面接をした。
「そこでこの女を採用したんです。夫は私に対しては黙って従っていますが、下の立場の人にわりとパワハラ的であると知っています。この女性は、そんな夫に対して“強くてカッコいい”と思ったんでしょうね。採用からほどなく、不倫関係が始まったようなんです」
それを知らせてきたのは息子だったとか。
「息子は家庭を持っており、滅多にウチには来ないのですが、“お母さん、ヤバいよ”とわざわざ言いに来た。私もうすうす察知してはいたのですが、息子から聞いた話は想像の上をいっていた。自分の息子に浮気がバレるって、相当みっともないことだと思うんです!」
夫はその40代の女性社員と仕事を抜けてホテルに行く、会議室に1時間こもって出てこないなど、社員に示しがつかなくなり、その士気も下がる危機的な状況だった。
「父が“血がつながった人間しか信じるな”と言っていたので、夫に会社の株は最低限しか渡していません。夫がその女性に夢中になってから、取引先にコロナを理由に切られたり、従業員の離職が止まらないなど、さまざまな弊害が起こっています。山村さんに証拠を取っていただき、夫には行動を改めてもらうか、最悪、ウチから出て行ってもらいたいんです」
今まで智子さんは証拠と向き合いたくないために、調査を先延ばしにしていた……言葉は強いですが、智子さんには夫への愛があると直感。調査に入ることにしました。
【ホテルステイで仕事をしているのか……その2に続きます】
探偵・山村佳子
夫婦カウンセラー、探偵。JADP認定メンタル心理アドバイザー、JADP認定夫婦カウンセラー。神奈川県出身。フェリス女学院大学卒業。大学在学中に、憧れの気持ちから探偵社でアルバイトを始め、調査のイロハを学ぶ。大学卒業後、10年間化粧品メーカーに勤務し、法人営業を担当。地元横浜での調査会社設立に向け、5年間の探偵修業ののち、2013年、リッツ横浜探偵社設立。依頼者様の心に寄り添うカウンセリングと、浮気調査での一歩踏み込んだ証拠撮影で、夫婦問題・恋愛トラブルの解決実績3,000件を突破。リッツ横浜探偵社 http://www.ritztantei.com/