牧師の家庭に生まれ、結婚して牧師の妻となり、自らも牧師になったミツコさん。夫亡き後は、協力牧師をしながら、ひとりで年金生活を送っている。毎月の生活費は年金7万円がメイン。経済的に余裕のある生活ではないが、お金がないからこそ感じる喜びがあるという。そんなミツコさんの著書『74歳、ないのはお金だけ。あとは全部そろってる』から、明るいひとり老後を送るコツをご紹介します。
71歳から水泳にチャレンジ
71歳のとき、かなづちを克服しようと、公営プールの水泳教室に通いました。テレビ番組で、シニアの水泳大会で優勝した90代の人が「70歳から水泳を始めた」と話していたので、「私にもできるかも」と挑戦を決めました。年初の教会学校の課題で「今年の目標は何ですか?」というのがあって、私は思いきって「今年はかなづちを克服して、泳げるようになりたい」と書きました。皆の前で発表してしまえば途中でやめられなくなるし、応援してもらえれば力になると考えました。
泳げるようになりたいとずっと思っていました。私が子どもの頃は、プールの授業はなかったので、泳ぎを習ったことがありません。大人になってからも、子どもたちと一緒に海に遊びに行ったくらいで、泳ぐ機会はなかったのです。
近くの公営プールの水泳教室に3期連続で通い、どうにか泳げるようになりました。まだ、息継ぎはうまくできないのですが、25mプールの半分まで泳いで足をつき、それから最後まで泳げるようになりました。
水泳教室が終わった後は、常駐の指導員さんから無料のレッスンを受けていました。けれども、今はプールが改装中でお休み。再開したら、また通って息継ぎをマスターしたいです。プールから出た後、何とも言えない爽快感を味わっています。この年齢になっても、新しい体験ができるものですね。
テレビを見ているとき、気になったことは壁に貼った紙にメモするようにしています。「へえ〜、そうなんだ」と思ったことも、書き留めておき、目につくところに貼っておかないと、すっかり忘れてしまうのです。
1枚の紙にランダムに書き込んでいるので、他の人が見たら「?」かもしれませんが、自分で見れば「あ、あのことね」と思い出します。「フラリーマン」「ハンドスピナー」なんて、今どきの言葉が並んでいます。
スマホの使い方を覚え、SNSで人との交流を楽しむ
携帯電話をスマートフォンに替えて、1年がすぎました。使っていた携帯電話の機種が生産中止になるとのことで、契約更新のタイミングでスマートフォンにしました。なかなか使いこなせないのですが、興味津々ではあります。
LINEは始めてから半年くらいです。娘が、連絡が取りやすいからと、LINEのアプリをダウンロードしてくれました。娘や孫、シルバーの仕事先のママたちとのやりとりは、LINEでしています。
最近、2週間に1回、近くに引っ越してきた保育士の孫が夜ご飯を食べにきます。孫との何気ない時間が楽しみになっていますが、そんなときスマートフォン、LINEのことなどを教えてもらっています。
それから、お店をやっている教会員の方のFacebookを見ようと思って登録したら、思いがけずに、アメリカにいる教会員の方から連絡がきました。海外にいる人とは、クリスマスカードのやりとりをするくらいでしたが、SNSだと時間を気にしないで手軽に連絡が取れるのがよいですね。
ただ、新型コロナウイルスの自粛期間で、電話のよさを再認識しています。LINEのメールやFacebookと違い、直接声が聞けると、心が温かくなります。便利なツールと電話は、どちらかに偏らず、バランスをとりながら、使いたいと思います。
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『74歳、ないのはお金だけ。あとは全部そろってる』(牧師ミツコ 著)
すばる舎
ミツコ
牧師。1946年生まれ。8人きょうだいの5番目として牧師家庭に育ち、自身も牧師を志す。神学系の大学を卒業後、同じく牧師の夫と結婚。夫婦二人三脚で47年間教会を運営。その傍ら、娘4人を育てる。娘たちはいずれも早くに独立し、孫が16人。長年闘病していた夫を2016年に見送る。その後は住まいを引き払い、単身公営住宅に。現在も協力牧師として、週2回教会につとめ、日曜礼拝で説教することも。牧師は富とは無縁の仕事。お金がないならないで、工夫をして楽しく暮らす。過去を振り返ったり将来を心配したりせず、「今ここ」に心をこめて生きるのを大切に。