「結婚したら変わってくれる」という希望はかなわなかった

お互いの両親には報告のみで式も行わず。結婚したことで2人の仲の修復を期待したものの、以前と何も変わらなかったという。

「地元が一緒なので1日でお互いの両親への報告を済ませて、建前は私の体調を気にして式を行わないということでしたが、相手は面倒だったからだと思います。私もそこで揉めるほど結婚式にこだわりはなかったから、いいかなって思って。

それでも、結婚して夫婦になったら、身籠っている私に対して相手の態度が変わってくれるんじゃないかって期待していました。でも、何も変わらなかった。悪阻で辛いときも『食べ物の匂いをさせないように食べて帰る』とは言ってくれるものの、私のご飯を用意してくれることもなく、寄り添ってもくれませんでした。病院へは私の母親が付き添ってくれました」

ギリギリまで働くつもりだった沙理さんですが、悪阻や気分が不安定な時期が続き仕事を退職することに。退職したことで職場の人たちと個人的な連絡を取り合うようになり、その中に今の夫がいた。

「卒業してからずっとマンションのリフォームなどを請け負う会社で働いていたんでそれなりに仲良くしてもらっていた人がいました。でも今の夫とは大勢で一緒に遊んだことはあっても、個人的な連絡先は知らないような関係性。辞めることになって、初めて連絡先を交換しました。結婚している間は共通の知り合いに何かあったときだけ連絡を取っていました」

妊娠による体調不良が続いたことで妊娠してから半年後には実家に帰ることに。そこから生まれるまでに元夫が実家に訪れた回数は2回。連絡も週末にあるだけだった。

「その2回も、実家に来て最初の週末と、電話で家にあるものを持って来てと私がお願いした1回だけです。その回数には母親も不信感を抱いていたと思います。

生まれた後も病院に数回来てくれただけで、自分の子だという自覚はまったくないようでした」

実家から家に戻って3か月後、離婚に向けての話し合いが行われた。【~その2~に続きます】

取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。

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