コロナ禍にあって、人とコミュニケーションをとる機会は以前より格段と少なくなってきています。しかし、人は「自分のことを話したい」という欲求を持っているといいます。人と会話する機会に話をうまく聞くことができれば、コミュニケーションの質が高まり、相手との関係を良好に保つことができるでしょう。
そこで、累計100万部のベストセラー『人は話し方が9割』の著者、永松茂久さんの『人は聞き方が9割』から、人とのコミュニケーションがうまくいく「聞き方」のコツをご紹介します。
文・永松茂久
すべての人の話を聞こうとしなくていい
聞き方について、ここまでたくさんお伝えしてきました。
「そうか、聞き方って大切なんだな」と少しは思っていただけたんじゃないかな、と思います。
新しい聞き方ライフを始めるあなたに、大切なことをお伝えします。
「あ、その大前提でいいんだ」と再確認していただけると幸いです。
今、私はこうして本や講演を通してたくさんの方とお会いさせていただけるようになりました。この仕事を通して、本当に世の中にはいろんな人がいるんだな、ということを日々感じています。
今回、この本は「聞く力を高めて、安心感を与えられる人になろう」というテーマを私なりに設定してお伝えしてきました。しかし、こうお伝えすると、真面目な方に限って、「よし、あの苦手な人の話を聞くんだ!」と、一番難しい人を選んで聞き方磨きにチャレンジしようとするケースがあるのです。
これはやめてください。
そうではなく、まずはあなたの身近な方、大切な方、「この人の話を聞きたいな」と心から思える方から聞き方チャレンジを始めてください。「誰に対しても」はもう少し先にしてほしいのです。
まずは身近で大好きな人の話から
世の中にはいろんな性格の人がいます。
話す側の人が、みな好意的な方ばかりではありません。
「ただ聞いてもらうことでスッキリしたい」と、自分自身は全く変わる努力をしようとせずに、あなたを愚痴のいいはけ口に使おうとする人もいます。
もちろん、初対面やまだお互いのことをよく知らない時は、どうしても聞かざるを得ないこともあるかもしれません。
しかし、会うたびに人の愚痴や悩みばかり話す人というのは、聞き方チャレンジに入門したばかりの人にとっては、エネルギーと時間を浪費するだけです。
ある程度の線引きは必要です。
遠くではなく、盲点になりやすい身近なところを見てみましょう。
ひょっとすると、あなたの周りの大切な人が何かで悩んでいることもあるかもしれません。
あなたの大切な人が何かを伝えようとしているかもしれません。
まずはその人を優先してほしいのです。
あなたの時間は有限です。
その大切な時間を誰のために使うのか?
誰の話を聞き、誰に寄り添っていくのか?
そこをジャッジすることは悪いことではありません。
あなたにとって一番大切なのは、あなたの大切な人、そして何よりもあなた自身なのだ、ということをしっかりと覚えておいてください。
100%好かれる聞き方のコツ
自分の時間を大好きな人のために使う
* * *
『人は聞き方が9割』(永松茂久 著)
すばる舎
永松 茂久(ながまつ・しげひさ)
株式会社人財育成JAPAN 代表取締役。大分県中津市生まれ。2001年、わずか3坪のたこ焼きの行商から商売を始め、2003年に開店したダイニング陽なた家は、口コミだけで県外から毎年1万人を集める大繁盛店になる。自身の経験をもとに体系化した「一流の人材を集めるのではなく、今いる人間を一流にする」というコンセプトのユニークな人材育成法には定評があり、全国で多くの講演、セミナーを実施。「人の在り方」を伝えるニューリーダーとして、多くの若者から圧倒的な支持を得ており、講演の累計動員数は延べ45万人にのぼる。著作業では2020年、書籍の年間累計発行部数で65万部という記録を達成し、『人は話し方が9割』の単冊売り上げで2020年ビジネス書年間ランキング1位を獲得(日販調べ)。2021年には、同じく『人は話し方が9割』が2021年書籍の年間ベストセラーランキングで総合1位(日販調べ)、ビジネス書部門でも2020年に続き、2年連続1位(日販調べ)に輝く。トーハンでも2021年ビジネス書年間ランキング1位に。著書は『人は話し方が9割』『人は聞き方が9割』『喜ばれる人になりなさい』(すばる舎)など多数あり、累計発行部数は285万部を突破している。