取材・文/ふじのあやこ
新型コロナの流行に伴い、私たちの生活は激変した。人とはソーシャルディスタンスという一定の距離を保ち、日常的なマスクの着用など国民全体でのルールが敷かれているものもあれば、リモートワークや失業など、個人によって大小それぞれ異なった変化も起こった。
この連載ではコロナ禍によってもたらされたさまざまな変化により、人生が変わってしまった人たちに話を伺っていく。
「今まではぼんやりと、自分の子どもを抱いている未来をイメージしていました。コロナ禍で出会いがなくなってしまった今、それをなんとしてもかなえるためにある決断をしたんです」と語るのは、倫子さん(仮名・36歳)。長く付きっていた男性と4年前に別れ、それ以来特定の相手はいない。
裕福な家庭で育ち、26歳で栄転と順風満帆の人生
倫子さんは京都府出身で、両親と4歳上に姉のいる4人家族。家族仲は良く、両親は倫子さんが望むものは何でも自由にさせてくれていた。両親は子どもたちが独立した後も夫婦で旅行に出かけるなど関係も良好という。
「自由、でしたね。習い事なども私がしたいというものは全部させてくれました。小さい頃はあんまり意識したことがないけれど、どちらかというと裕福だったと思います。あくまでもどちらかといえばなので、セレブとかでは全然ないんですけど。お金の面では苦労した記憶はありません。今振り返るとありがたい限りですね。
姉も私も25歳前後で実家を離れていて、そこから両親は2人暮らしなのですが、私たちが居たときよりも仲良しですね。コロナ前までは毎年海外旅行に2人で行っていました。一応『一緒に行く?』と誘ってくれますが、ちっとも気持ちが入っていないのがわかりますから(苦笑)」
大学、就職は大阪に通い、転勤で26歳のときに上京。上京後は仕事ばかりの毎日で、新しい友人もできずに寂しい日々だった。
「仕事はIT企業の営業です。最初の1年ぐらいは覚えることに必死で、あまり社交的ではなかったので、無理しての愛想笑いとかで胃が毎日キリキリしていました。でも、それも徐々に慣れてきて、お得意先の人と仲良くなったりしてもっと頑張りたいというときに東京に転勤になって。大阪と東京では仕事の進め方なども違っていて、また一からという感じでしたね。
仕事はまだ慣れていったんですが、まったく知り合いがいない土地での孤独がきつかったです。社会人になって5年目の状況で、今さらどう友人を作ればいいのかを一番悩みました」
【友人、恋人の作り方がわからない。次ページに続きます】