皆さんが勤めている会社には「早期退職制度」はありますか? 今回は「早期退職」の種類や制度、そして退職金の相場などを一緒に見ていきたいと思います。

そもそも退職金は老後の生活のための資金という位置づけが一般的ですが、一方で定年を待たずに転職して新たなキャリアを目指す際の転職資金、もしくは起業資金とするケースも最近は増えてきています。早期退職制度の基本的な知識を得たうえで勤務先の会社の制度を把握することにより、今後のキャリアプランやライフプランに生かしていくことができます。

100歳社会を笑顔で過ごすためのライフプラン、ライフブック(R)(https://www.smilelife-project.com/)を提唱する、ファイナンシャルプランナー・藤原未来がわかりやすく解説します。

目次
早期退職金の仕組みと制度について
早期退職金の平均額について
転職などによる勤続10年以下の退職金は?
まとめ

早期退職金の仕組みと制度について

政府の調査によれば、退職金制度を設けている会社は約8割といわれています。これまでは定年まで勤めあげるケースが多かったので、退職金は長期勤務による会社への貢献に対する感謝や慰労の意味合いであることが一般的でした。しかし、今はキャリアアップを目指して他の会社に転職することも多くなってきたので、退職金に対する考え方も少しずつ変わってきています。

一般的に「早期退職」には、「早期希望退職制度」と「選択定年制度」の2種類があります。

(1)「早期希望退職制度」

これは、企業が経営のリストラ目的で行われ、人員の整理・削減を目的とするケースがほとんどで、一定の募集期間を設けて希望者を募るようにしていることが多いようです。「会社都合」という性質上、退職金を割増するなど、従業員にとっては有利な条件が提示されることが一般的です。 

(2)「選択定年制度」

一方、人数や期間を限定することなく随時募集する「選択定年制度」もあります。これは、会社の人事制度として設けられているもので、各企業によって適用される要件などが定められています。「選択定年制度」も、人事制度のひとつとして優遇のある場合が多いのですが、注意すべきは、この場合の退職は「自己都合」退職の扱いになることです。雇用保険に関しても、「自己都合」ということで受給制限があります。

(3)「早期希望退職制度」と「選択定年制度」を利用する際の注意点

「早期希望退職制度」と「選択定年制度」は、「自己都合」退職か、「会社都合」退職かという違いがあります。

「会社都合」退職の場合、失業給付(基本手当)について、給付期間が増えたり、失業手当が「自己都合」退職の場合よりも早く受け取れたりするなどの違いがあるため注意が必要です。「早期希望退職制度」は会社側の都合によって期間限定募集で行われる制度であるため、原則として「会社都合」退職になります。

「会社都合」退職となると、7日間の待期期間はあるものの、「自己都合」退職に比べると早く失業給付を受け取ることが可能。給付日数は、被保険者期間や年齢にもよりますが、例えば、被保険者期間が20年以上、離職時の年齢が45歳以上60歳未満の場合だと最大330日受け取ることができます。

一方、「選択定年制度」は従業員自らが会社の制度を利用するものであるため、原則として「自己都合」退職の扱いに。「自己都合」の場合、雇用保険から失業給付(基本手当)を受け取るときに7日間の待期期間があるうえに、最長3か月の給付制限期間もあるため、「会社都合」に比べ、基本手当を受け取ることができる時期が遅くなります。また、給付日数も「会社都合」退職よりも短くなる可能性があります(被保険者期間や年齢による)。

早期退職金の平均額について

では、定年退職を待たずに早期退職をした場合、退職金はどのくらいもらえるのでしょうか? 厚生労働省の平成30年就労条件総合調査によると、勤続20年以上かつ45歳以上の退職者(大学・大学院卒)に給付した退職金の金額の平均は、以下の通り「退職事由」によって異なっています。

退職事由が、

「定年」の場合:1983万円

「会社都合」の場合:2156万円

「自己都合」の場合:1519万円

「早期優遇」の場合:2326

これを見ると、「早期優遇」(早期優遇退職制度を利用した退職)が最も給付額が多いことが確認できるでしょう。最も少ない「自己都合」とは、800万円以上もの差が生じていることがわかります。

もちろん、退職金規程は企業によって異なるので、自分の会社の退職金制度を確認して、「早期退職優遇制度」がある場合には、その応募要件や退職金の優遇額を調べるとよいでしょう。「選択定年制度」についても同様に、会社が定める年齢条件や割増退職金の金額などをチェックしておくことをお勧めします。

転職などによる勤続10年以下の退職金は?

最近は転職を重ねることにより、自分のキャリアを上げていく欧米流の働き方を選択する人も増えてきています。そのような人たちにとっても、転職する際に受け取れる退職金はとても気になるところです。

通常、退職金は勤続年数が長ければ長いほど多くなる設定になっているので、転職するタイミングで、その会社に何年勤務していたかにより支給額は異なります。

多くの場合、

退職時の基本給 × 勤続年数 × 支給率(役職や成果等に連動)

といった計算をしており、勤続年数が長いほど支給金額が多くなります。また、退職理由が「定年」退職および「会社都合」退職であれば支給額が高めで、「自己都合」退職の場合は低めに設定されているのが一般的です。

自らの希望で転職するために退職する場合は「自己都合」に該当するので、「定年」や「会社都合」に比べると退職金は少なくなることになります。さらに、勤続年数が3年に満たない場合には退職金が支給されないような規定になっていることが多いので、1、2年の短いタイミングでの転職では退職金は期待できないと考えておく必要があります。

では、転職による「自己都合」退職の退職金の相場はいくらくらいなのでしょうか。厚生労働省中央労働委員会の「令和元年賃金事情等総合調査」によると、「自己都合」退職の勤続年数別のモデル退職金総額は以下の通りです。

勤務年数3年で32.8万円

勤務年数5年で63.4万円

勤務年数10年で186.1万円

勤務年数25年で1,280万円

勤務年数35年で2,368万円

※大学卒、事務・技術労働者、総合職相当、自己都合退職による

転職を何度も繰り返すような場合には、それぞれの会社での勤続年数は短くなりますから、自然と退職金も少なくなってしまいます。とはいえ、自己都合で退職して転職したことによって基本給アップができるのであれば、一概に損をするとは言い切れないでしょう。

まとめ

早期退職には、メリット・デメリットの両面があります。今後のキャリアアッププランを描くには、10年、20年先のライフプランを設計し、それを踏まえたうえで早期退職するかどうかを決めることをお勧めします。保険や金融商品を販売しない中立的なファイナンシャルプランナーは、相談者の立場に立って最適なライフプラン作りをお手伝いします。

●編集/京都メディアライン(HP:https://kyotomedialine.com FB

●取材協力/藤原未来(ふじわらみき)

株式会社SMILELIFE project 代表取締役、1級ファイナンシャルプランニング技能士。2017年9月株式会社SMILELIFE projectを設立。100歳社会の到来を前提とした個人向けトータルライフプランニングサービス「LIFEBOOK®サービス」をスタート。米国モデルをベースとした最先端のFPノウハウとアドバイザートレーニングプログラムを用い、金融・保険商品を販売しないコンサルティングフィーに特化した独立フランチャイズアドバイザー制度を確立することにより、「日本人の新しい働き方、新しい生き方」をプロデュースすることを事業の目的とする。

株式会社SMILELIFE project(https://www.smilelife-project.com

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