2020年以降、新型コロナ禍による在宅勤務の広がりなどで、日本での投資や副業に対する意識の変化が広がっています。他の人が何に投資をし、どんな副業をしているのか気になる所ですね。このような現状を踏まえ、18歳~60代の男女500名に、資産状況や将来の貯蓄に関する意識調査を、株式会社外為どっとコム(https://www.gaitame.com/)が実施しました。一緒に見ていきましょう。

月々の貯金額・投資額の平均は9.4万円! 日本は現預金大国

月々の貯金額や投資額の平均額は9.4万円でした。家計の金融資産の構成は、現金・預金が60.0%を占めています。日本銀行調査統計局が発表した「家計の金融資産構成」によると、アメリカでは預金・現金の割合は13.3%ですから、日本は圧倒的な現預金大国であることがわかります。

現在副業や副収入があると回答したのは20.8%。その中で最も多いのは「アンケートモニター・懸賞」でした。男性だけで見ると「株式投資」「FX」「不動産・シェアリング」など、投資関連が多く取り組まれている傾向にあるようです。

将来の収入に約3割が「非常に不安」と回答|投資や副業への意識・行動に変化も

コロナ禍は投資や副業(副収入)への意識にも影響があることも明らかになりました。コロナ禍をきっかけに「投資を始めた」、もしくは「頻度が増えた」と回答したのは約2割に上っています。副業や投資を始めた理由としては、「老後の資金を貯めたい」のほか、「自身の将来への漠然とした不安」「日本経済への不安」「コロナ禍での経済不安」など、多くの不安を感じており、本業以外の収入への意識が高まっていることが浮き彫りになりました。

副業(副収入)・投資に興味を持ったきっかけは、「老後の資金を貯めたい」が54.9%でトップとなるほか、「自身の将来に漠然と不安を感じた」「日本経済に不安を感じた」「コロナ禍で経済不安を感じた」という回答もそれぞれ3割程度に及び、特に10~20代は先行きの見えない日本経済への不安がひと際高い傾向に。

投資についての回答をご紹介します。


・周りで休業や失業する者が増え、以前から行っている外国為替取引(FX)に増資することが増えた(20代男性)
・コロナを機に職場の業績が悪くなり月給とボーナスが減額になったので、お金を増やすことを考え、つみたてNISAを始めた(20代女性)

老後2000万円問題…順調に備えられているのは約3割

昨今深刻な課題である老後の資産形成ですが、老後2000万円問題の実態では「すでに用意が済んでいる」「計画通り順調に準備ができている」と回答したのは26.0%。「計画はしているが不十分だと感じている」「不安があるがどうしたらいいかわからない」と回答したのは57.6%と、まだまだ多くの課題があることがわかりました。

対策方法で最も多いのは「貯金・預金」で、「株・投資信託などで資産運用している」のは58.3%。30代では外国為替取引(FX)も人気の傾向にあります。

人生100年時代に備え、資産形成の知識を身につけておくべくという時代の流れが後押しし、2022年4月より高校家庭科で資産形成に関するカリキュラムがスタートするなど、「お金」について学ぶことが今の時代を生き抜くためには避けて通れなくなっているようです。

専門家が語る「コロナ禍での資産形成のあり方」

まだまだ先行きの読めないコロナ禍。2021年は金融業界にどのような動きがあったのでしょう。そして、これからの資産形成はどうしていけばいいのか? 

外為どっとコム総合研究所の神田卓也さんに解説していただきます。

調査の結果、コロナ禍で投資意識が増加傾向である一方、家計の資産構成や金融商品の保有額を見ても、日本人はまだまだ投資への抵抗感が一定数あることがわかりました。アメリカは「投資信託」や「株式等」というかたちで金融資産を保有する考えが浸透している一方、日本はまだ現預金での貯蓄派が多数。

一方で、昨今の低金利環境では、毎月100万円を預金(1年間/金利0.002%)しても240円にしかなりません。株式・債券・FXなどのさまざまな金融資産や日本・先進国・新興国などの投資先地域、通貨に分散して投資し、資産運用を行うのも将来に備える方法の一つです。

コロナ禍の中、金融市場は活発化し、外国為替取引(FX)市場も2020年度に日本で初めて6,000兆円の取引額を突破しました。米国株の売買も日本で人気が出るようになるなど、外国為替や外国株の売買も活発化しています。振り返ると2021年は、新型コロナ対策として各国の中央銀行が行った強力な金融緩和の余波で、世界的なインフレ懸念が高まった年でした。

2022年は世界的に金融政策の正常化が進むと見られ、米FRB(連邦準備理事会)の動きをにらみながら、先進国や新興国の中央銀行が利上げを行う動きが加速しそうです。このような金融政策の大きな転換により、外国為替取引(FX)市場や米国株取引が活性化することが予測されます。

これまで外国為替取引(FX)はハイリスクの印象でしたが、昨今は「FX積立」などの手軽に始められ、ローリスクローリターンのサービスも登場しております。一方で、今回の調査ではまだまだ知らない方も多いことが明らかになりました。

2022年の4月には金融教育が開始され、国を挙げて金融リテラシーの底上げに力を入れていく中、新しい金融サービスや仕組みに敏感になるいい機会かもしれません。今年は投資・資産運用の“始めどき” ではないでしょうか? 

神田卓也(株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役 調査部長上席 研究員)
1987年第一証券(株)(現三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社)を経て、1991年(株)メイタン・トラディション入社。2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画、2011年12月より現職。FXの個人投資家へ向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、Web・新聞・雑誌・テレビ等にコメントを発信。著書に『いちばんやさしい為替の教本』(インプレス)などがある。

***

コロナ禍を機に私たちの生活は大きく変革を遂げてきました。そして、その変化は誰しもが避けては通れないものになっています。今まで難しそうだと思っていたことにも、挑戦する必要があるのかもしれません。しっかりと勉強して、準備を怠らず、時代に取り残されないようにしたいですね。

調査概要
調査名:金融・投資に関する調査
調査対象:銀行預金以外の投資に興味がある18歳~60代の男女500名
調査期間:2022/1/6~1/11
調査方法:インターネット調査
調査機関:株式会社アスマーク

 

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