いつも使っているインターネットが、急に使えなくなると焦るものです。そんなとき、テレビなどで「どこどこで通信障害が発生していて…」という言葉を聞くことがあります。さて、この「通信障害」とは何なのでしょうか? 「通信障害」と呼ばれる状況と対策を解説します。

目次
「通信障害」とは?
通信障害情報(速報)の確認方法は?
問い合わせ先は?
まとめ

「通信障害」とは?

昔ながらの電話だったら、繋がらない時は「プープー」となることで電話局から“繋げません”と通知してきます。原因としては、相手方の話し中ということが多いでしょう。他にも、電話局交換機が故障したり、災害が起きた時や年明けの瞬間などで接続依頼が殺到して「輻輳(ふくそう)」と呼ばれる状況になると、想定された通信量がオーバーして繋がらなくなります。

インターネットにおける「通信障害」とは、目的のサーバーに到達出来ず、サーバーから処理されたデータを取得出来ない状態を言います。具体的には、「繋がらない」「画面が真っ白」「スクロールが遅い」「画面が出てくるまで遅い」「メッセージやメールの返事が遅い」などの症状のことです。

電話の「プープー」音のように通知がないので、困惑する状態が続きます。インターネットを接続する機器はルーターから始まり、モデムやONUから光ケーブルや電話線を使い、数多くの機器を経ているので、それらが故障すると「通信障害」が発生します。

サーバーまで多数の中継機器を通るので、どれかが故障すると繋がらない

別途、「遅い」という「通信障害」があります。たくさんの機器がデータを中継していますが、サーバー性能が低い場合や中継機器の能力が低いと「遅い」という通信障害になります。チケット販売サイトで販売開始時アクセスが集中して、繋がった時には売り切れなども通信障害と言えるでしょう。

サーバーへアクセス集中すると遅くなる

お店の案内ホームページがテレビなどで紹介されたり、Yahoo! JAPANニュースで紹介されると、アクセスが集中して案内ホームページに辿り着けなくなることがあります。インターネットを運用管理する側にとっては通信障害と変わらないので対応に苦慮します。

また、攻撃もあります。どんなOSやアプリケーションにも脆弱性(バグ)はつきものです。毎日のように脆弱性に対応するためのアップデート情報が出ていますが、NATルーターではアップデートが放置され、悪者からリモート操作で攻撃に使われる場合があります。大量のデーターを乗っ取った数万台のNATルーターから攻撃するのです。最近の攻撃ピークは2Tbpsと通常最大アクセスの約1,000倍です。このような攻撃をサーバーが受けていても、ユーザーからは通信障害としかわかりません。

ネットが繋がらない原因は?

ネットが繋がらないのは、通信機器の故障かアクセス集中のどちらかです。機器故障は、ONUを責任境界として、NATルータとパソコン、スマホ側の問題です。

アクセス集中は、ONUから向こう側=インターネット側は、契約しているプロバイダ事業社をさらにプロバイダ事業社が契約している国内や海外の機関ネットワークを管理する上位通信事業社、そしてアクセスしようとしているサーバー、サーバーを設置しているデータセンターのインフラ(ネットワーク機器、空調設備や電力設備など)が関係します。

通信障害情報(速報)の確認方法は?

日頃使っているWebアプリケーション(クラウドアプリケーション)が突然使えなくなったら、通信障害の発生状況や復旧状況を知りたくなります。本当に通信障害発生なら、問い合わせが殺到してコールセンターに繋がりません。

通信障害が長時間になると「通信障害発生通知サイト」に速報が出ます。通信障害を知らせるサポートサイトは殺到するアクセスに耐えられるようになっている場合がほとんどです(アクセスに耐える仕組みは改めてご紹介しましょう)。

お勧めはTwitterで「障害」「トラブル」などで検索することです。通勤電車遅延、地震なども良く発信(ツイートと言います)されています。数時間以上継続していると、TV放送などでも報道されます。

九州のデータセンターで電力設備トラブルがあると、全国のコンビニで決済出来ないとか、米国のデータセンターでネットワーク機器が故障したら、レンタル自転車が返却できないとか、最近のクラウドサービスは世界中で連携して運用され、影響範囲は通信障害が発生するまでわからない場合が多くなっています。

大きな障害=長時間通信障害になるとTwitterで利用者が騒ぎ始めるので、Twitterを検索するのが通信障害をすばやく知る方法です。

サービス提供側での長時間通信障害発生は、評判に関わる事なので、短時間で復旧すべく対応します。事前に設備や人員、コストを掛けて配置すると障害は減り、もしもの時の復旧時間も減ります。運用者側の対策として、2重化設備の自動切り替えや24時間365日の監視作業、障害時の復旧手順構築、訓練などを行っています。昨年の東京オリンピックでは多くの妨害アクセスがありましたが、事前に計画された対応策で「何も起きません」でした。これは、すごい事だと言えます。

障害エリア(マップ)の確認方法は?

一般の方々が障害エリアを知る方法は、残念ながらありません。インターネットには膨大な機器が接続され、どのようにサーバーに接続され通信しているかは運用社同士で調整されています。たった1社の経路切り替え失敗により、多数の通信会社が長時間通信障害を起こすこともあるので、関係者以外秘密なのです。

どこで切れているか、どこが混雑しているなどは、Windows機であれば「tracert」コマンドで確認出来ます。ここでは、詳細な説明は割愛しますので、詳しく知りたいという方は調べてみてください。

問い合わせ先は?

通信障害は通常、数分で復旧します。ユーザー側の問題ということもあるので、使用しているルーターなどの確認をして待ちましょう。数時間以上通信障害が続く場合は、契約しているプロバイダ社のサポートページにアクセスして確認します。

まとめ

膨大な機器が繋がっている、インターネット。機器が故障しても自動的に経路変更して通信を維持する、まるで生き物のようです。小さな通信障害から半日以上の通信障害まで毎日どこかで通信障害は発生しています。それでも修復しながら通信出来るのがインターネットのすごいところです。

杉田正 
インターネットハンドルはsugipooh。アマチュア無線、TK-80BS、PC-8001、APPLEII、MacintoshPlusからのアップル信者。大型ストレージ、RAIDやNAS開発からWebサーバー開発、データセンターにおけるセキュリティ規格ISO27001(ISMS)を日本で最初に取得。現在はクラウド用省エネデータセンター研究開発や省エネデータセンター構築コンサルタントを行っている。

構成・編集/京都メディアライン(http://kyotomedialine.com

 

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