インターネットを利用するには、「プロバイダ」=ISP事業社(インターネットサービスプロバイダ)と契約して、インターネットに接続します。各社それぞれに特長があって、利用料金も異なります。光回線、ADSL回線、スマホの携帯電話会社、街のWi-Fi接続ポイントなど、「プロバイダ」の違いを知って、上手にインターネットを使いましょう。
インターネットとは、どういった仕組みなのでしょうか? いつもは裏方の皆様が支える「インターネット基本のき」をご紹介します。
目次
プロバイダとは?
階層の最上位は世界上位ネットワーク
上位へ情報をやり取りすると利用料を支払うISP事業社
プロバイダの裏側
自身が使っている、プロバイダISP事業社の確認方法
まとめ
プロバイダとは?
「プロバイダ」とは、インターネットに繋ぐサービスを提供する事業社のことです。ISP事業社=インターネットサービスプロバイダの略称です。そしてISP事業社がサービス提供する機器を収納している場所が「データセンター」です。またインターネットサービスだけを行い、ISP事業は行わないインターネット企業もたくさんあります。
上記のインターネット階層図をご覧いただければ、イメージがわくのではないでしょうか。ただし、プロバイダネットワークはISP事業社同士でも接続、情報を交換しますので、現実はもっと複雑です。世界上位ネットワークも蜘蛛の糸のように世界中を繋いでいます。
階層の最上位は世界上位ネットワーク
電話局やデータセンターは、プロバイダネットワークを構成していて、“上位”国内基幹ネットワークに接続され、情報交換されます。さらに、国内基幹ネットワークは世界上位ネットワークに接続され世界に繋がっています。
国内基幹ネットワークは陸上と海底ケーブルで構成され、世界上位ネットワークは海底ケーブルで各国を繋いでいます。国内基幹ネットワークや世界上位ネットワークの構築には、膨大な費用が掛かるので、日本ではNTTやKDDIが光ケーブルを敷設する場合がほとんどです。それら施設の一部を借り受けて再販する事業社もあります。
上位へ情報をやり取りすると利用料を支払うISP事業社
プロバイダ事業社は、国内基幹ネットワークへ情報をやり取りすると利用料を支払います。
膨大な費用で敷設された光ケーブルの利用料です。プロ用回線で24時間365日稼働する必要もあり、使われる通信機器(業務用ルータ)も高価なので、利用料は高価です。10年前大阪で600Mbps契約だと月額1,000万円もしました。600Mbpsは、今ならNetflixを30人が同時に視聴すると達する回線流量です。
利用者個人で負担出来る月額費用では無いので、それを取り持つビジネスが「プロバイダ」なんです。インターネットを使いたい人達を集めて、プロバイズ=分割して、安く提供します。集まった利用者はたくさんのデータを使わない時間があるので、安く提供出来るのです。
それでも、使いたい時間帯が集中する夜間などでは、想定している流量を超えます。これらを上手にサービスするのがISP事業社の差になってきます。
プロバイダの裏側
Googleで検索することを“ググる”と言いますが、「プロバイダ」を検索すると各ISP事業社の競争が激しいことが分かります。何故ならGoogle検索上位への広告料金は高いにも関わらず、数多く載っているからです。
ISP事業社は、上位基幹ネットワークを持つISP事業社に接続するために高価な業務用機器を設備します。設備したからにはお客さんが少ないと困ります。利用率向上が利益に繋がるのです。
データはどこを通っている? 接続サービス
各家庭や会社が接続しているインターネットネットワークは「ラストワンマイル」と呼ばれます。電話局やデータセンターへ接続する最後の回線だからです。種類は光ケーブルや電話線を使うADSL、携帯電話回線を使う4GLTEや5Gなどがあります。
さらに契約期間で利用額が変わります。契約月無料、6か月縛り、1年契約割引、携帯電話セット割、など。しかも、各ISP事業社ごとに、サービス名や割引料が異なります。毎月300円違うと1年で3,600円、バカになりません。
「速い」と上位への支払いが多くなるので、たくさん利用者を集め過ぎると「遅くなる」のです。100Mbps回線契約で100Mbpsスピードが出ることはありません。しかも、マンションなら光回線1本を共用したり、繋がっている電話局やデータセンターで、どれだけの利用者を収納しているかがわからないので、そのグループで大量の情報をやり取りする利用者がいると遅くなります。
悪質なプロバイダ
最近は少なくなりましたが、“安かろう悪かろう”なサービスを選ぶと、後々ストレスが溜まります。スピードが遅い、ちょっと動画を観ると激遅になる、時々繋がらなくなる…などです。サポートへクレームを入れると、「上位の快適なプランはいかがですか?」なんて言われることも。電話対応があるだけマシで、「低価格サービスにはメールでしかサポートしません」という事業者もあり、慣れていないと使えないサービスです。
これらは、ベストエフォート型と呼ばれる契約で、上位への接続をグループで制限して、安く接続サービスを提供しているのです。
パンフレットには「速い」と書いてあっても、ベストエフォート型契約で安価に提供しているため、同一グループでたくさんの情報を使う(流量が多い)利用者がいると「遅く」なります。こうしたことを契約前にISP事業社に聞いても「わからない」としか言いません。
NTT系や電力系ISP事業社だと、遅くて繋がらないことは少ないです。遅いISP事業社でもクレームすると、ある日突然速くなることもあります。接続ルータを交換したり設定を変更してくれるのです。それでも、遅くて我慢出来ないときは、ISP事業社を乗り換えましょう。
自身が使っている、プロバイダISP事業社の確認方法
インターネットに接続するには、ISP事業社に接続してもらいます。どこかと契約しないとインターネットは使えません。契約後にIDとパスワード、連絡用メールアドレスが書いた「契約書」を渡されるはずです。契約時にISP事業社が接続設定したとしても「契約書」は必ず置いていきます。「契約書」が見つからないときは、サポートセンターに電話しましょう。
ISP事業社名も思い出せないときは、銀行通帳やクレジットカード明細で、毎月の支払い先をご確認下さい。ISP利用料は5,000円前後するので、簡単に見つかると思います。
長く同じISP事業社を使っていると、回線契約がアップグレードされている場合もあります。なお、「契約書」の再発行は有料です。また、パスワードは電話では教えてくれません。ですから「契約書」は大事に保管してください。
まとめ
プロバイダ事業社は多く、それぞれにたくさんのサービスを行っていて、回線スピードの速い遅いで月額利用料が大きく変わります。また、1年契約とか長期間契約での割引もあって契約後に簡単に乗り換え出来ないので、選ぶのは大変です。毎年のように新しい会社から新しい魅力的なサービスが登場します。提供する側の事情、上位プロバイダに多額の接続通信料を払うことを理解して、良いサービスをお選びください。
杉田正
インターネットハンドルはsugipooh
アマチュア無線、TK-80BS、PC-8001、APPLEII、MacintoshPlusからのアップル信者。大型ストレージ、RAIDやNAS開発からWebサーバー開発、データセンターにおけるセキュリティ規格ISO27001(ISMS)を日本で最初に取得。現在はホスティング用省エネデータセンター研究開発や省エネデータセンター構築コンサルタントを行っている。