SNSで知り合った友達の家にいたもの

依頼者・隆二さんは「娘はいったい、何をしているのか」と困惑し、「山村さん、娘と話してください。僕から頼まれたと言ってもいい」とかなり焦っていました。

とはいえ、20歳の女性が、父親から素行調査をされていたとなると、不快に思う可能性も高い。

そこで、都内のアパートに帰ってきたタイミングを見計らい、「ちょっとよろしいですか」と声をかけました。そして「お父様があなたのことをとても心配していて……」と言うと、「父の奥さんですか?」と言われ、「違います。友人です」と言うと、ちょっとホッとしたようでした。

家に帰っていない理由は、SNSで知り合った友達が、入院してしまったから。

「友達といっても、60歳の女性なのですが、独身で一人暮らしなんです。彼女が手術している間、家に行って猫の世話をしてほしいと言われて、埼玉の方まで行っていたんです」

猫は3匹おり、最初は娘に懐かなかったが、一緒に過ごす時間が多いと、体を摺り寄せてきた。

「ネコがかわいくて、離れたくなくて、ずっとその家にいたんです。ネコを見ていると飽きなくて、ご飯を食べるのも忘れていました」

お父さんが心配していることを伝えると、「あ、なんとなくめんどーでやっていませんでした」と言うので、その場で連絡してもらいました。

その後、隆二さんから感謝の連絡がありました。

「娘と電話でガッチリ話しました。彼女は小さい頃から“ひとりで生きたい”と思っており、それゆえに就職率が高い理系の学校に進学した。でも、ホントはデザインや絵の関連の仕事がしたいので、学校も楽しくなく、友達もおらず孤立していたようです」

そこで、SNSを通じて知り合いになった、友達と仲を深めていく。

「娘の友達は、50代から60代の独身女性で、女性同士の助け合いみたいなものに憧れていたんでしょうね。娘の友達はがんで長い入院生活になるそうです。そのとき娘は、友人から猫の引き取り手について相談されたそうですが、退院まで猫の世話をすることを請け負ったそうです」

隆二さんが「彼氏はいないの?」と聞くと、「一生作る気はないし、いらない。友達と助け合って生きていく」と即答。

「それでもいいのですが、離婚してしまったことに責任を感じてしまうんですよね。娘は大学を辞めて、別の専門学校に行きたいなど、いろんな話をしてくれました。もちろん、そのすべてを応援したいと思います」

娘とSNSでつながった50~60代の友人達は、コロナ禍だから仲良くなったという側面もあるという。

厚生労働省の人口動態調査を見ても、2020年の離婚件数は、前年から7.3%減の約19万組。2021年は、前年からさらに3.5%ほど下がっています。コロナという危機があり、家族の結束が固まった人もいれば、仲間との結束を強めた人々も。

女性は経済と家事負担が、男性は経済負担が増え、結婚が「無理ゲー」と言われる時代、隆二さんの娘のような結婚観を持つ人が増えていくような気がします。

探偵・山村佳子
夫婦カウンセラー、探偵。JADP認定メンタル心理アドバイザー、JADP認定夫婦カウンセラー。神奈川県出身。フェリス女学院大学卒業。大学在学中に、憧れの気持ちから探偵社でアルバイトを始め、調査のイロハを学ぶ。大学卒業後、10年間化粧品メーカーに勤務し、法人営業を担当。地元横浜での調査会社設立に向け、5年間の探偵修業ののち、2013年、リッツ横浜探偵社設立。依頼者様の心に寄り添うカウンセリングと、浮気調査での一歩踏み込んだ証拠撮影で、夫婦問題・恋愛トラブルの解決実績3,000件を突破。リッツ横浜探偵社 http://www.ritztantei.com/

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