関係が近いからこそ、実態が見えなくなる家族の問題。親は高齢化し、子や孫は成長して何らかの闇を抱えていく。愛憎が交差する関係だからこそ、核心が見えない。探偵・山村佳子は「ここ数年、肉親を対象とした調査が激増しています」と語る。この連載では、探偵調査でわかった「家族の真実」について、紹介していく。

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今回の依頼は、最近増えている、離婚後に離れて暮らす子供の素行調査です。隆二さん(仮名・62歳)は、「娘(20歳)と連絡が取れない」と私たちに依頼をくださいました。隆二さんは米国在住です。
娘は、難関私立大学の2年生。5歳の時に両親が離婚。母親が異性関係に奔放なため、祖父母や父、継父や母の恋人たちが彼女を育てました。
【これまでの経緯は前編で】
探偵と娘は一緒に銭湯に入る
「ここ数年、若者の命にまつわる悲しいニュースが多い。もしものことがないように、様子を見てきてください。娘が何をしているかを報告願います」
探偵が調査対象となる本人に接触することはご法度なのですが、「必要とあればそうしてください」とのこと。離れていても娘を思う父親の愛を感じました。
まずは、娘さんが住むアパートから調査スタート。築20年程度の2階建てアパートです。人の気配はありません。しかし、ポストの様子を見ると、定期的に出入りしている様子。
探偵カーを手配し、丸2日48時間の張り込みを続けましたが進展はありませんでした。
学校は終わっているので、手がかりはここしかありません。
気長に見張りを続けていると、3日目の昼間、駅の方から高級ブランドのダウンジャケットを羽織った娘さんが歩いてきた。髪はボサボサで痩せており、肌は青白く覇気がありません。
3時間ほど滞在して、トートバッグを持って出てきました。行き先は近所の銭湯。慣れた様子でお金を払い、入っていくので私も追います。
横目で追うと、かなり痩せている。真っ白な肌にあばら骨がうっすら浮くほど痩せている、背中はは恐竜の突起のようにごつごつと骨が出ています。
丁寧に体を洗い、湯船につかっているとき、脚が不自由なおばあさんが入ろうとして来たのですが、すぐに湯船から出てドアをあけ、イスと洗面器を用意していました。気が利く優しい人であると同時に、つい体が動いてしまう苦労人なんだと拝察。
風呂から出ると、家に立ち寄り、荷物を持って駅へ。電車を乗り換えて埼玉の郊外にある一戸建てに入っていきました。
この家では何が行われているか全くわかりません。娘はひとりで出てきてスーパーに買い物に行ったり、周辺を散歩したりして、3晩泊まってまた自宅へ。
【「娘と話してください」という依頼が……次のページに続きます】
