ペットショップで売れ残ってしまった、子犬たちはどうなるかご存知ですか? 犬を飼われている方でも、売れ残った子犬のその後を知らないという人は14.1%おり、そもそも生態販売をしているペットショップには行かないという飼い主さんも2.6%みられました。そこで、株式会社PLAN-B(https://www.plan-b.co.jp/)が運営する、犬の情報発信メディア「INUNAVI」が全国の犬の飼い主さん389人を対象に「ペットショップ」に関するアンケート調査を実施しました。子犬の価格についてや、売れ残った子犬がどうなるかまで、見ていきましょう。

子犬の値段が店舗や犬種などで違うのはなぜ?

「子犬の値段が店舗や犬種などで違うことをどう思うか?」と聞いたところ、最も多い回答は「値段は気にならない」が33.4%でした。

しかし、「そもそも値段をつけてほしくない」32.1%、「なぜ違うのか疑問に思う」31.1%と僅差で続き、63.2%の飼い主さんはペットショップの在り方そのものに疑問を抱いていることがコメントから推測できました。実際のコメントを紹介します。

「良い血統だとそれなりの値段が付くだろうと考えているから」(女性/30代/値段は気にならない)

「命を買う。所有物、自分がお金を出して買ったのだから何しても良い。という思想に繋がるように感じるため」(女性/30代/そもそも値段をつけてほしくない)

「店舗によりかなり差が出るのは気になります。あまりにも価格が低い犬は何か基礎疾患があるのか心配になることもありますし、逆に高すぎる犬もなぜその価格なのか知りたいです」(女性/30代 /なぜ違うのか疑問)

住居の広さが十分ではない日本では、超小型犬や小型犬が人気です。子犬の値段は体が小さければ小さいほど高い傾向にあります。体が小さな犬のブリーディング(繁殖)は、リスクが伴い難しいといったことで数が少なくなり、結果、希少価値が出て高額な値段がつくのです。

このことを考えると、そもそも無理して体を小さくする必要があるのかを疑問視してしまいますね。

ペットショップで販売される子犬は、仕入れにかかったコストや店舗での飼育費、人件費や維持費を上乗せして値段が決められるため、多少の違いがあっても仕方がありません。

しかし、同じ犬種で同じ週齢の子犬、人気の犬種とそうでない犬種の子犬で値段の差が大きく開くのは、多くの人が疑問を持つのは当然のことでしょう。

コロナ禍で子犬の価格が高騰!

「子犬の価格高騰についてどう思う?」と聞いたところ、最も多かった回答は「値段で犬の価値が決まるようで許せない」「高い犬=いい犬と勘違いする人が出てくる」「自慢したいだけの人が飼い主になる」でした。

コロナ禍でおうち時間が増え、癒しを求めて子犬をお迎えする人が増えました(※1)。全国の保護団体にも多くの問い合わせが入り、ペットショップでは品薄状態の場所もあります。需要が高まったことで子犬の値段は高騰し、それまでの値段の2倍3倍ということも珍しくありません。

実際、最近のSNSなどでは子犬の値段が高額なことを自慢するものも目にすることから、飼い主さんたちにしてみれば子犬の心配をしてしまうのかもしれません。実際のコメントをご紹介します。

「簡単に手が出ないお値段の方が、しっかり考えられるのでいいと思います。ある程度の経済力も必要なのでそういった意味でもいいかと思います」(女性/40代)

「日本ではまだまだ殺処分されてしまう犬はたくさんいます。にもかかわらず、ペットショップでの犬の値段の高騰は納得できません」(女性/20代)

「小型犬で人気の犬種が売れているようですが、アクセサリー感覚で飼うのはやめて欲しいです。見た目が可愛いのはわかりますが、相性や犬種の性格も考えて購入して欲しいです。無理して高額の犬種を飼っても、他人に自慢したいだけ。自己表現の道具として飼う人はその後の飼育を怠る傾向にあり、金銭面でも続かない飼い主がいるようです。そういった飼い主が増えない為にも高騰させるのは賛成できかねます」(女性/40代)

「値段が高いことで安易に購入できなくていい」といったコメントも僅かに見られましたが、「高いからいいというものではない」「自慢したいだけで飼う人も出てくる」など、値段の高騰を危惧するコメントがたくさん見られました。

実際、日本人はブランドに弱く(※2)、「高いものがいいもの」と判断する人は少なくないようです。

これは情報の非対称性(売り手と買い手の情報の差)によるもので、情報の非対称性はどの業界でも問題になっています。子犬の値段の高騰の背景には、需要と供給が追い付かないことのほかに、2019年6月に成立した改正動物愛護管理法(※3)により、繁殖業者やブリーダーのコスト増も挙げられています。

しかし、残念ながらペットブームに便乗して値段を高くしている業者やペットショップもあるほか、今の時期に販売するために無理な繁殖を行う繁殖業者やブリーダーが出てきても不思議はありません。保健所や保護団体には里親を待つたくさんの犬たちがいることを考えると、子犬の需要が高まって値段が高騰しているというのは理解に苦しむところではないでしょうか。

売れ残った子犬たちの運命は…?

「ペットショップで売れ残った子犬がどうなるか知ってる?」という質問に対して、「繁殖に回されたり殺処分されると思う」が65.0%でした。

子犬は生後3か月を過ぎた頃から徐々に値段が下げられ、何とかペットショップも飼い主を見つけようとしますが、それでも売れ残ってしまった場合は、返還したり、実験動物業者に販売、引取り屋に買い取ってもらいます。

返還されれば「繁殖の道具」や「殺処分」が待ち受けており、「実験動物」として命を落とす、引取り屋の元「劣悪な環境で暮らす」や「殺処分や遺棄される」など、ほとんどの子犬は悲惨な運命を辿ります…。

「里親に出されると思う」と回答した飼い主さんは18.8%いましたが、実際に里親探しをしてくれる良心的なペットショップはごくごく一部でしかありません。

犬の飼い主さんですら「考えたことはなかったので知らない」14.1%や「売れ残ることはないと思う」2.1%と回答する人もいるのですから、犬を飼っていない人ではこのような回答はもっと多いことが容易に推測できます。

ペットショップで売れ残ってしまった子犬がどうなるかをもっと公にしなければ、子犬の需要があるからといって繁殖するだけの繁殖業者や生態販売をするペットショップがなくなることはないでしょう。

今後のペットショップに望むこと

「ペットショップに望むことは?」と聞いたところ、最も多かった回答は「生態販売をやめてほしい」「安易な販売はやめてほしい」といった子犬の販売方法や販売する相手に対するものでした。

「品揃えを充実させてほしい」「併設施設を充実させてほしい」といったコメントも僅かに見られましたが、ほとんどの飼い主さんは子犬の命について真剣に考えているようです。実際のコメントをご紹介します。

「保護犬を置いて欲しいです。まずは、その子達の中から選んで欲しいです。子犬の展示は絶対に反対です。子犬にとって大事な時期を大切な母親から引き離してはいけません。また、ペットショップは売れ残った子達がどうなるのか、伝えるべきです」(女性/30代)

「理想と現実があるとは思いますが、命の尊さは感じてほしいです」(女性/50代)

「ペットショップがあると繁殖業者も変わらずなくなることはないし、お金を払えば簡単に手に入り、簡単に捨てる人間がいることもあり、ペットショップは無くして欲しい」(女性/40代)

「これから家族として一緒に過ごしていく覚悟があるのかをしっかり見極めた上で子犬を販売してほしいです」(男性/20代)

「エサをきちんと与えてあげて欲しい。どの動物もガリガリで可哀想です」(女性/30代)

すべてのコメントを紹介できないことが残念なくらい、子犬の命について飼い主のみなさんが熱く語ってくれていました。

このコメントの数々がペットショップの人の目に触れるかはわかりませんが、実際に愛犬と暮らす飼い主さんたちがどう考えているかは、ペット業界も目を向けるべきなのではないでしょうか。

***

近年、生態販売をやめて保護犬を紹介するペットショップもでてきましたが、多くのペットショップはまだまだ当たり前のように子犬をガラスのケースに入れて展示販売しています。購入する人がいるから販売するのは自然な流れであって、ペットショップだけが悪いわけではありません。

また、誰かが購入しなければ売れ残った子犬たちが悲惨な運命を辿るのも事実です。

この悪循環を断ち切ることはとても難しいことですが、このままでいいわけはありませんね。日本は海外のペット先進国の足元にも及びませんし、ペット先進国であっても飼育放棄などの問題はあります。すべてをクリアにすることは現実問題として無理がありますが、一人一人の意識を変えていくことがペットショップの在り方や悪質な繁殖業者やブリーダーを減らす一歩になるのではないでしょうか。

すべての犬たちが安心して幸せに暮らせるように、日本全体の意識が変わる日が1日でも早く来るといいですね。

(※1)参考:一般社団法人ペットフード協会「2020年度トピックス:コロナによる影響 / 変化」
https://petfood.or.jp/data/chart2020/11.pdf
(※2)参考:明治大学学術成果リポジトリ「日本におけるブランドと国民性の関係」
https://m-repo.lib.meiji.ac.jp/dspace/bitstream/10291/7270/1/shougakuronshu_29_151.pdf
(※3)参考:環境省「改正動物愛護管理法概要」
https://www.env.go.jp/council/14animal/mat51_1-1.pdf

▼調査概要
・アンケート内容:ペットショップに関するアンケート
・調査方法:インターネット調査
・対象者:10代~60代の全国の犬の飼い主さん389人(男性81人 / 女性308人)
・アンケート実施期間:2021年10月19日~10月24日

 

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