お墓

今、自由な供養のカタチに注目が集まっています。後継者がいない、子に負担させたくないなどの理由から、墓じまいをする方やお墓を作らないといった選択をする方が増えてきています。しかし、墓じまいの手続きや費用などの具体的な情報はわからない方もおられるかもしれません。

そこで、墓じまいの手続きや流れ、費用などをアクティブシニアのライフサポートを行う株式会社ユメコム代表の橋本珠美が、解説いたします。 墓じまいに関するお悩みを解決するヒントとなればと思います。

目次
墓じまいとは?
「墓じまい」の手続きと流れ
「墓じまい」にかかる費用はどれくらい?
「墓じまい」のよくあるトラブルは?
まとめ

「墓じまい」とは?

墓じまいとはお墓を撤去し、なくすことです。お墓から取り出した遺骨は、永代供養などをします。その手続き方法や流れについて、下記でご紹介します。

数珠と線香

「墓じまい」の手続きと流れ

墓じまいをする場合、先祖代々からのお墓はどうすればよいのでしょうか。そのまま放っておけば荒れ果てて無縁墓となり、ご先祖様に申し訳ないだけでなく、お寺や霊園にも迷惑をかけることになります。そうならないためにも、墓じまいの流れを見ていきましょう。

「墓じまい」の流れ

墓じまいの一般的な流れは、以下の通りです。

親族と話し合いをする

墓じまいをするときは、必ず親族と話し合ってください。お墓を継いでいる立場であったとしても、お墓は家族を象徴する意味もあります。わずらわしいと思わずに、皆の想いを聞いてみましょう。

お寺や霊園に伝える

親族間の合意を得られれば、お寺や霊園に墓じまいの旨を伝えましょう。このとき、「埋葬(納骨)証明書」を交付してもらいます。また、新たな納骨先には「受入申請書(永代供養許可証)」を交付してもらいます。

改葬許可申請をする

遺骨を他の場所に移す際は、「改葬許可証」が必要です。必要書類をそろえ市町村に申請を行いましょう。なお、墓じまいをした後に自宅供養あるいは散骨をするのであれば、「改葬許可証」は必要ないとされています。それぞれの方法により、しっかり確認してください。

石材店を決める

墓石の撤去作業をお願いする石材店を選びます。お寺や霊園側が石材店を指定していないのであれば、複数の石材店で見積もりを取りましょう。

遺骨の取り出し・解体

住職などにお経をあげてもらい(魂抜き)、遺骨を取り出します。遺骨は石材店に依頼して取り出してもらいます。長い間お墓の中に安置されていた遺骨は、水が溜まっていたり、カビが生えていることもあるため、キレイにしてあげましょう。
費用【お布施】の目安:3 万円~20 万円程度

「墓じまい」にかかる費用はどれくらい?

墓じまいにかかる費用は、地方により違いがあるようです。どういった傾向があるのかを、一般社団法人日本石材産業協会 福川修介副会長にお伺いしました。

条件によって違いはありますが、残土処分費や基礎処分費、整地費等を含め、墓じまいにかかる費用は、おおよそ30~50万円位が多いようです。可能であれば複数の石材店に見積もりをとっても良いでしょう。ただし、指定業者墓地も多いので無理な場合も。また、あまりにも安すぎる業者にも注意が必要です。

他にも特徴がありますので、箇条書きでお伝えいたします。
・都市部と地方では価格差が大きい。
・都市部のお墓は小さく、単価が高い。地方は逆。
・石材100㎏あたり1万円~3万円位の間多い。
 (上記に加え、残土処分費や基礎処分費、整地費等が必要)
・重機が入らない、トラック停車位置からの距離等、場所のよっては割増になる場合も。
・遺骨の状態により、洗骨や再火葬の必要がある場合がある。

墓じまいに補助金は出る?

墓じまいに行政や自治体から補助金が出るのであれば、活用したいですよね。このことについても、福川さんに聞いてみましたが、「行政・自治体が墓じまいを推進していないので、補助金は存在しません」という回答でした。

「墓じまい」のよくあるトラブルは?

親族間で墓じまいの意見の相違により、訴訟沙汰に発展することも。ただし、お墓は相続財産ではなく祭祀財産であるため、祭祀の承継者が決済することができます。墓じまいに関する問題点やトラブルには下記のようなものがあります。

・寺院内のお墓で檀家を辞める場合、離檀に際する費用が問題に。
・産業廃棄物にあたる場合が多く、処分方法に注意が必要。違法投棄されるケースも。
・前述の費用の追加部分に関する事前説明不足。
・遺骨の移転先に細心の考慮が必要(管理体制、使用期間、最終処分方法等)。
・二度と元には戻すことはできない。

問題点やトラブルの事例をあらかじめ把握しておくことで、リスク管理をしておきたいですね。

まとめ

墓じまいの流れや費用、よくあるトラブルなどをご紹介してきました。今後、ますます少子高齢化社会となることから、墓じまいを検討される方が増えてくるのかもしれません。先祖代々、引き継がれてきたお墓。後悔しないためにもご家族やご親族の方と相談することが何より大切ですね。形は変わっても、ご先祖様に感謝する気持ちはいつまでも持ち続けていたいですね。

構成・編集/末原美裕・内藤知夏(京都メディアライン・http://kyotomedialine.com

●取材協力/橋本 珠美(はしもと たまみ)

橋本珠美

2001年4月、株式会社ユメコムを起ち上げ、介護・福祉の法人マーケットを中心に、誰もが高齢社会を安心して過ごすためのコンサルティングを始める。
また「高齢者と高齢者を抱える現役世代」のための相談窓口「シニアサポートデスク」「ワーク&ケアヘルプライン」を運営し、高齢者やそのご家族の幅広いお悩み(介護・相続・すまいなど)にお応えしている。
相談窓口の事例と自身の経験(ダブルケア)を取り入れたセミナー活動は好評を得ている。

株式会社ユメコム(https://www.yumecom.com

●取材協力/九谷田 拓司(くたにだ たくじ)

九谷田様

有限会社京都日葬 一級葬祭ディレクター
「毎日のことから万一のことまで」地域を支える京都日葬グループ
不安から安心へ~をモットーに、様々なご相談にお応えしている。変化していく宗教観、家族観の中で弊社ができることは何か? なんでも相談できる集団であり続けることが、お客様の不安を安心に変えられる一番の方法だということを実感し、独自の京都日葬グループを確立。

有限会社京都日葬(https://kyoto-nissou.com/

 

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