iDeCo(イデコ)は、国が用意した私的年金制度「個人型確定拠出年金」の愛称です。自分で毎月掛け金を積み立てながら、将来の老後資金作りをするための制度で、節税効果が大きいのが特徴です。
とても有利な年金制度ですが、毎月の掛け金はいくらを目安に考えれば良いのでしょうか? そもそも最低の掛け金はいくらで、上限はいくらなのでしょうか? せっかくの節税メリットを活かすために、まずは自分にとって適切な掛け金はいくらなのかを知り、なるべく早めに積み立てを始めましょう。
100歳社会を笑顔で過ごすためのライフプラン、ライフブック(R)(https://www.smilelife-project.com/)を提唱する、ファイナンシャルプランナー・藤原未来がわかりやすく解説します。
目次
iDeCoの掛け金の平均額はどのくらい?
掛け金は途中で変更できる?
掛け金の支払い方法は2種類
まとめ
iDeCoの掛け金の平均額はどのくらい?
iDeCoは、国民年金加入者であれば利用できます。毎月最低5,000円の掛け金で始められ、1,000円単位で掛け金を設定することができます。一方、掛け金の上限額は人によって異なります。
具体的には、次の区分でそれぞれの上限額が決められています。
1.自営業者等(国民年金の第1号被保険者):月額68,000円
2.会社員・公務員等(国民年金の第2号被保険者)
ア. 企業年金制度のない企業の会社員:月額23,000円
イ. 企業型確定拠出年金のみの企業の会社員:月額20,000円
ウ. 確定給付企業年金がある企業の会社員もしくは公務員:月額12,000円
3.専業主婦(夫)(国民年金の第3号被保険者):月額23,000円
これに対して、国民年金基金連合会の公表資料「iDeCo(個人型確定拠出年金)の加入等の概況」によると、掛け金の全体平均額は2022年3月末時点において月額16,056円となっています。
加入者の種別ごとの平均額は以下の通りです。
・国民年金1号被保険者(自営業者等):月額27,270円
・国民年金2号被保険者(会社員等):月額14,352円
・国民年金3号被保険者(専業主婦・主夫)等):月額16,170円
以上のことから、拠出限度額が月額68,000円まである、国民年金第1号被保険者(自営業者等)の平均額が高くなっているのがわかります。
掛け金は途中で変更できる?
iDeCoの掛金額は、毎年1回だけ変更することができます。変更の対象となるのは、12月分から翌年11月分の掛け金で、月々最低5,000円から1,000円単位で、各々の上限金額までを自由に設定できます。
掛け金を変更する場合は、運営管理機関に「加入者掛金額変更届」を提出します。運営管理機関とは、例えば「楽天証券」「SBI証券」「マネックス証券」などです。なお、加入者区分(主婦や会社員など)によって届出様式が異なります。
また、もし万一病気や失業などで収入が減り、最低掛金額である月額5,000円の積み立ても難しくなってしまった場合には、掛け金の拠出を一時的に停止することもできます。その場合は、利用する金融機関から「加入者資格喪失届」を取り寄せ、必要事項を記入したうえで返送します。
拠出を停止している間は「運用指図者」として掛金の積み立てを行わず、それまでに拠出した分の資産だけを運用していくこととなります。
掛け金の拠出を停止したからといって、これまで積み立てた資金を引き出せるわけではないため注意が必要です。また、掛け金の所得控除のメリットが受けられなくなるなどのデメリットもありますので、掛け金の停止については慎重に判断する必要があります。
掛け金の支払い方法は2種類
iDeCoの掛け金は、「月払い」が主流ですが、2018年からは年単位で支払いを決められる、「年単位拠出」が可能になりました。
原則として「月払い」は、預金口座などからの口座振替で行なわれます。第2号被保険者(会社員等)の場合は、会社が毎月の給与から控除して納付することになります。ただし、このような「給与天引き」による納付を希望しない場合には、本人名義の口座から口座振替で納付することも可能です。
「月払い」に対して「年単位拠出」とは、掛け金の納付を1年単位で考え、加入者が年1回以上、任意に決めた月にまとめて拠出する方法をいいます。つまり「年1回払い」に限らず、「年2回払い」や「年3回払い」など任意の回数に分けて支払うことが可能です。
「月払い」を選択すると、いわゆる「ドルコスト平均法」の効果を得ることができます。「ドルコスト平均法」とは、投資信託など常に値動きをする投資商品を毎月一定額ずつ購入することにより、買付単価を平準化する運用方法。時間分散効果によって価格変動リスクを抑えることができます。
とくに、経済情勢が不安定な時期は投資の環境も悪く、価格が乱高下する可能性も高いので「ドルコスト平均法」を利用した方が、比較的安心して投資が続けられます。
一方、定期預金や年金商品のような元本確保型商品は、「元本割れがない代わりに運用収益は期待できない」という特徴があるため、手数料を気にするべきです。iDeCoは金融機関にもよりますが、「月払い」の場合には最低でも国民年金基金連合会への手数料等が月額171円かかります。手数料を抑えるなら、「年単位拠出」で支払い回数を少なくした方が有利です。
まとめ
今回は、iDeCoの「掛け金」についておさらいをしてきましたがいかがだったでしょうか。「iDeCo」は、税金の優遇を受けながら資産運用を取り入れて、老後の生活資金を確保することができる便利な「年金制度」です。制度自体の仕組みや、自分自身の「掛け金」の上限額を確認したうえで、ライフプランに合わせて最大限利用することをお勧めします。
生命保険や金融商品などを販売しない中立的なファイナンシャルプランナーは、相談者の立場に立って最適なリタイアメントプラン作りをお手伝いします。
●取材協力/藤原未来(ふじわらみき)
株式会社SMILELIFE project 代表取締役、1級ファイナンシャルプランニング技能士。2017年9月株式会社SMILELIFE projectを設立。100歳社会の到来を前提とした個人向けトータルライフプランニングサービス「LIFEBOOK®サービス」をスタート。米国モデルをベースとした最先端のFPノウハウとアドバイザートレーニングプログラムを用い、金融・保険商品を販売しないコンサルティングフィーに特化した独立フランチャイズアドバイザー制度を確立することにより、「日本人の新しい働き方、新しい生き方」をプロデュースすることを事業の目的とする。
問い合わせ先:03-6403-5390(株式会社SMILELIFE project)
株式会社SMILELIFE project(https://www.smilelife-project.com)
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