父の再婚で祖母と離れて暮らさなければならないことに……

小学生のときに一度、祖母が体調を崩して入院することに。幸いにも大事には至らなかったものの、そこから知佳さんは、祖母に頼りきりにならずに家事を手伝うようになったそう。

「私や父親とはやっぱり体の疲れみたいなものが違ったみたいで。私は祖母のことを母親かのように、そして父親と同じぐらい元気なんだろうなってずっと思い込んでいたんです。祖母が入院したことでその間違いに気づき、父と2人きりになった家で初めて寂しいと思いました。どうしても3人での生活を守りたくて、ずっと3人で暮らしていたくて、祖母には長生きしてもらいたくて家事を手伝うようになりました」

知佳さんがどうしても守りたかった3人の生活は、中学生に上がる直前に突如としてなくなってしまうことに。その原因は父親の再婚でした。

「まったく女気なんてないと思っていたのに、父にはずっと付き合っている女性がいたんです。父親の男性的な部分を知ったことで少し気持ち悪さがあったものの、付き合うだけなら勝手にしてって感じだったんですけど、結婚となると話は違いますよね。反対したいという思いが強かったんですが、私はすぐに認めました。だって、祖母が再婚を喜んでいたから。3人が4人になるなら、まぁいいかって無理矢理思うようにしました」

顔合わせをしたときの父親の彼女の印象は悪くなく、結婚まで順調に話が進んでいったそう。しかし、その中でどうしても納得できないことが1つあったと言います。

「祖母が家を出て行くということになったんです。それは祖母から言い出したことのようで、父も最初は反対していたんですが、どうやら祖母の意思が固かったみたいで、結婚と同時に祖母の一人暮らしの話も進んでいきました。

父の彼女は、父親と同級生で落ち着いた雰囲気のある女性でした。嫌だという気持ちはまだあったものの、大きく反対する理由もなかったという感じです。

私の中では、あの人のことよりも祖母と離れて暮らすことのほうが大きくて、何度もこのまま4人で暮らしたいと説得したんですが、祖母は『気楽に1人でのんびりしたい』と言って聞いてくれなくて。祖母は本当はもっと離れたところで暮らす予定だったんですが、あまりにも私がしつこいので近場を選んでくれたのが妥協点でした。これで寂しくなったら通えばいいと思っていたんです。あの頃は新しい母親としてあの人を迎えるつもりでしたから」

近所に暮らすものの一度も祖母に顔を見せない父の奥さん。私の母親になる努力だけでは家族にはなれない。【~その2~に続きます】

取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。

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