取材・文/ふじのあやこ
近いようでどこか遠い、娘と家族との距離感。小さい頃から一緒に過ごす中で、娘たちは親に対してどのような感情を持ち、接していたのか。本連載では娘目線で家族の時間を振り返ってもらい、関係性の変化を探っていきます。
「親との関係はいつも我慢の連続で、大人になったときに無理につなげておく必要がないと自分から距離を置きました。でも、結婚した今、普通の親子関係にやっとなれるんじゃないかって期待している自分もいて……」と語るのは、泰代さん(仮名・39歳)。彼女は36歳のときに結婚、現在は旦那さまと2人暮らしをしています。旦那さまの母親が暮らす家から徒歩圏内の場所で暮らし、関係も良好。結婚生活は楽しいと言います。
教育熱心な両親は期待値高め。できないと罰則があった
泰代さんは兵庫県出身で、両親と3歳下に妹のいる4人家族。父親は県内の企業に勤めるサラリーマンで母親は専業主婦、両親ともに教育熱心で小さい頃から厳しく躾けられていたそう。
「小学校低学年までは塾には通わずに、家で母親に勉強を見てもらっていました。母親はピアノもできて、家でピアノのレッスンも受けていましたね。父親はいつも晩ご飯の時間には帰ってきていて、夜の食卓はいつも4人でした。そこでする話はほとんど学校の話、というか勉強の話です。目の前で母親から私の出来について話があり、悪かったら父親からその場で注意を受けて、食事後の勉強が義務付けられます。食事中はテレビをつけることもダメだったので、晩ご飯の時間は全然ご飯の味がしませんでした。怒られないこともあったけど、いつ怒られるのかわからないからビクビクしていましたね」
塾に通い始めたのは小学校5年生のとき。学校の成績と塾の成績で怒られることが2倍に増えたと振り返ります。
「塾は県内か関西地方に複数あるような塾で、試験などでは、全生徒順位が出るところでした。塾なのに親との三者面談や、親と先生だけの二者面談もあって。そこには母親だけでなく父親も参加していました。決まってその後は期待に沿えなかった私に対してのお怒りと課題が出されます。市販のドリルなどならまだいいほうで、英語などでは単語1つにつきノート1ページ分書かされていました。おかげで今も覚えている単語はたくさんあるんですが、単語だけでは英語の成績は良くはならないんですよ(苦笑)。その度に、なぜできないかを説明させられて……。私が聞きたいって感じでした」
【大学生になってもプライベートにまで干渉してくる。次ページに続きます】