不妊の原因は自分。夫はそれを隠して義母に伝えてくれたものの……
そんな中、義兄が結婚と同時に奥さんの妊娠が発覚したそう。これで一度は落ち着いたものの、その2年後に旦那さまが再びの転勤で関西に戻ることになり、義母の孫願望をうまくかわせないようになっていきます。
「義母は義兄の孫に釘付けで、私たちへの連絡も減っていたものの、関西に戻ることになって。義兄夫婦がいる前で私たち夫婦の孫が欲しいと言うようになりました。そのときには私たちは30代半ばだったこともあり、作ろうということに。義兄の子どものかわいさを見ていると欲しくなったということもありました。
最初の頃は自然に任せていたんですが、1年経ってもできなくて……。いざ作ろうと思ってできないと、義母の言葉をうまくかわせなくなってくるんですよ。妙な焦りも出てきてしまって。一度夫婦で検査を受けると、私のほうに不妊の原因が見つかりました」
不妊の原因を義両親に告げないまま、不妊治療に入りますがうまくいかずに30代も後半に。投薬などで不妊治療は思いのほか辛い日々だったと振り返ります。長期間になったことで隠し切れず、義母には原因不明ということで旦那さまから伝えてもらったそう。
「不妊治療で働くこともできず、もしかしてと喜ぶところから一気に落とされる。その繰り返しに疲れ切ってしまって。孫を望む義母の何気ない一言もしんどくなり、不妊治療をしていることを夫から伝えてもらいました。原因不明と伝えてくれたのは夫の優しさです。それなのに、義母は私と2人きりのときを見計らって原因を聞いてきました。私は子どもができない罪悪感から嘘はつけずに私が原因だと伝えました」
義母はその場では慰めてくれたそうですが、保管してあった義兄の子どものおもちゃを、少し前に結婚して現在妊娠中の義弟のお嫁さんにあげていたことが発覚します。
「この事実は、義母のことがあまり好きじゃない義妹から愚痴のように聞かされました。『もう他の兄弟には子どもができないから持っていってとゴミを押しつけられた』と言っていました。そのとき私たちはまだ諦めていなかったのに、義母の中ではできないと烙印が押されたんだなって。その後夫婦で話し合って子どもを諦めてそのことは事実にはなりましたが、笑顔の中にそんな一面があったと思うと、もう義母の前でうまく笑えなくて……。夫もその気持ちを理解してくれているので、うまく距離を取りながら今後も過ごしていければいいと思っています」
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。