家を出たかったはずなのに、追い出されると思った時は怖かった
高校を卒業後は地元の短大へ進学。章乃さんは東京に行きたい専門学校があったそうですが、両親の反対にあい、実現しなったそう。
「ファッション系の専門学校に行きたかったんです。私の見ていたファッション雑誌には読者モデルとしてその専門学校の生徒がたくさん出ていて、あの子たちのようになりたくて。でも、兄のように賢かったら家を出てわざわざ地方の大学に通う意義もありますが、私のようにただ行きたいというだけの気持ちだけでは親に反対されても仕方ないですよね。自分で行くお金もありませんし。父親は専門学校自体にも難色で、結局地元の短大に進学しました」
短大期間はあまり親と話すこともなく、いわゆる反抗期だったと当時を振り返ります。
「遅すぎですよね(苦笑)。それまでは、なんとなく親とは本音で接してはいるんだけど、どこか遠慮している関係でした。嫌われたくない思いが強かったのかも。それが進路を反対されたことで嫌われてもいいやと開き直れたんです。まぁ、専門学校に入れなかったフラストレーションを親にぶつけてしまっただけかもしれませんが……」
短大を卒業後は実家から通える企業の事務に就職。在学中の時とは違って、家を追い出されないために必死で就職したと言います。
「短大時代は本当にダラダラしていて、周りが就職活動をしていても何も行動しませんでした。なんとかなるだろうとか、まだ20歳だから最悪フリーターでもいいと思っていたんです。でも、その考えに父親がキレて、『就職が決まらなかったら家を追い出す』と。2年の冬ぐらいだったけどそこから一般求人などを見て必死に就職活動をして、ギリギリで就職が決まりました。あんなに東京に行きたいとか家を出たいと思っていたのに、いざ追い出されるかもしれないと思うと、怖くて仕方なかったんです。今振り返ると本当に子どもだったんだなって思います」
親に反対されないように付き合っている男性のことは隠し続けた。それは、反対されたくないからか、反対されると別れてしまうからか。【~その2~に続きます。】
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。