いわゆる“コロナ太り”で、「糖質制限」や「低炭水化物ダイエット」に励んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
炭水化物源となる穀類には、白米、玄米、麦ご飯など、さまざまな種類がありますが、とくに玄米や麦ご飯には食物繊維やミネラルが豊富に含まれています。
少量でもお腹いっぱいになり、かつ食物繊維が多く摂れるので、ダイエットをしたい方にとってもおすすめです。
食物繊維が豊富な押麦
食物繊維は、人の消化酵素で消化・吸収されず、そのまま大腸まで運ばれていく栄養素。水に溶けるタイプ(水溶性食物繊維)と溶けにくいタイプ(不溶性食物繊維)に大きく分けられ、どちらもバランスよく摂る必要があります。
体内の余分なコレステロールを排出したり、便秘の解消を助けたり、糖質の吸収を穏やかにして食後の血糖上昇を抑える働きをするともいわれています。
食物繊維は、日本人に不足しがちな栄養素のひとつです。
厚生労働省公表「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、食物繊維は成人男性(18〜64才)で1日に20g以上、成人女性(18〜64才)で18g以上の摂取が基準となっています。けれど実際には、平均14.4g(※1)しか摂れていません。
野菜に多く含まれるイメージが強い食物繊維ですが、野菜だけで基準を満たそうとすると大変です。
厚生労働省公表「健康日本21」では、野菜の摂取目標量(成人1日あたり)を350g以上としています。なぜ350gかというと、食物繊維20gを摂取するために必要な量が350gだからといわれています。
野菜からだけでなく、穀類からも食物繊維を摂ることで、無理なく基準に近い量を摂取することができます。
とくに押麦は、食物繊維の総量が精白米の約24倍(※2)と豊富。
水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の両方をバランスよく含み、糖質の分解や代謝を助けたり、肌や髪の健康を保つ栄養素ビタミンB群や、強い抗酸化力のあるビタミンEも含んでいます。
白米に3割混ぜるだけ
押麦とは、世界最古の穀物のひとつといわれる「大麦」を、ローラーなどで押しつぶし調理しやすいように加工したもの。うるち性に属し、粘り気が少ないのが特徴です。
食物繊維を豊富に含んでいますが、押麦だけではパサついて食べにくいため、白米に混ぜて食べることをおすすめします。
たとえば1日3食すべてに、押麦が2割入った麦ご飯を加えるだけで、4.5gも食物繊維が摂れる計算になります。
ご飯茶碗1杯(150g)で食物繊維量を比較
150g中の食物繊維量(※3)
白米のみ 0.5g
麦ご飯(押麦2割) 1.5g
麦ご飯(押麦3割)2.3g
麦ご飯(押麦5割)3.5g
押麦5割にすると食物繊維がより多く摂れますが、食感がパサつくため、食べにくさを感じる方もいらっしゃるかもしれません。おいしく食べられるのは2割・3割くらいです。
私たち「おいしい健康」の管理栄養士がおすすめしているのは、3割。おいしく食べられて、かつ食物繊維が摂れるので、バランスが良いと思います。
白米の炊飯前に加えればよし
炊き方はとても簡単です。押麦は下ごしらえいらず。毎日の食事に取り入れやすいのもポイントです。
炊き方の手順
①といだ白米を炊飯器の内釜に入れて、白米の分量に合わせた水を入れる
②1に押し麦、追加の水(押麦の倍量)を加え、さっと混ぜる
③約30分ほど浸水させ、あとは普通に炊いて蒸らす
白米を2合(300g)使用する場合の押麦と追加の水の目安量
・押麦を2割にするとき:押麦60g/追加の水120ml
・押麦を3割にするとき:押麦100g/追加の水200ml
・押麦を5割にするとき:押麦220g/追加の水440ml
*割合は、炊き上がり時の麦ご飯全体量に対する押麦の割合です。
食物繊維が多いと消化の際、胃に負担がかかることもあります。そのため、消化機能が未発達な乳幼児や、消化機能が低下している高齢の方、体調がすぐれない方の場合は白米がおすすめです。
ゆでた押麦をあとから白米に加えることも可能ですので、家族によって分けることもできます。
押麦は、サラダやスープの具材にも使えます。多めにゆでて冷凍しておけば、手軽に食物繊維がプラスできて便利。ぜひ、毎日の食卓に取り入れてみてください。
※1 厚生労働省公表,平成30年「国民健康・栄養調査報告」
※2 文部科学省公表,「日本食品標準成分表(七訂)」
※3 文部科学省公表,「日本食品成分表2015年版(七訂) 追補2018年版」
編集/おいしい健康編集部
監修/おいしい健康管理栄養士
株式会社おいしい健康
「誰もがいつまでも、おいしく食べられるように」という理念のもと、ITを活用したヘルスケア事業や生活メディア事業を展開しています。主なサービスとして、病気の予防・管理、ダイエットなどを目的とした管理栄養士監修のレシピ検索・献立作成サービス「おいしい健康」を運営。社内には、サービスの監修や向上にあたる管理栄養士が複数在籍しており、食や健康に関する情報をエビデンスに基づき正確にわかりやすく発信しています。
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