男の子の出産に義母は「また」と言った
妊娠中は義母が面倒を見に来てくれることもあったものの、一度拒否されていると思った気持ちは元には戻らなかったそう。さらには、同じ条件ながらまったく違う境遇になってしまったことで、姉ともうまく接することができなくなっていったと当時を振り返ります。
「妊娠中は夫の優しい言葉でさえイライラしてしまったり、パニックになることも多くて、自分の感情をうまくコントロールできなくなっていました。義母に対してもあっちが私を邪魔者扱いしたくせに家に来るんじゃねーよとか思ってしまって。必要以上にしんどいふりをして会話さえ避けていました。母親にもうまく甘えることができないし、何でも話せていた姉にも劣等感のようなものを持ってしまって孤独でしたね。姉は義家族とうまくやっているのに、私はうまくできないことを感じるのが辛くて、姉を避けるようにもなっていたんです……」
妊娠は精神的にも辛い時期だったそうですが、無事男の子を出産。出産後はわざとらしく仲良くしようとする義母に対して嫌悪感を抱くようになってしまったとか。
「男の子が生まれたことで『また。娘は杏里ちゃんだけね』みたいなことをわざとらしく言ってきました。私のこともそうですが、息子のことを『また』と少し残念そうに少し笑いながら言ったことを今でも忘れられません。それに出産後の体がようやく戻ってきたあたりで義家族と一緒に温泉旅行に連れて行かれたんです。出産後はすぐに痩せられずにまだブクブクした体だったのに、なぜこのタイミングで義母と裸の付き合いをしなければいけないのか。苦痛で仕方なかったです。義母は痩せているので、ここでもマウントをとられた気分でした」
現在は義母と一定の距離を置きつつも、姉には本心を話すことができるようになっているとのこと。その理由は姉夫婦の離婚にありました。
「表面上はうまくいっていても、夫婦の仲は本当に夫婦にしかわからないんだなって思いました。姉夫婦は私たちの両親や義両親の介入がない分、直接的にぶつかる時間が増えてしまったそうです。私たち夫婦は今は関係は普通ですが、義家族の行事には何かと理由をつけて夫だけ参加してもらうようにしています。断りやすいように、息子はサッカーを習っているのですがそのチームのサポート役を買って出ています。直射日光の中での作業でも、義両親との付き合いに比べたら100倍楽ですよ」
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。