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選評/林田直樹(音楽ジャーナリスト)

ひとつの時代が終わろうとするとき、文化は爛熟に達し、もっとも輝かしい段階に到達するのだろうか。フランスのブルボン朝末期、王妃マリー・アントワネットの音楽教師でもあった作曲家クロード=ベニーニュ・バルバトルの作品は、一般的にはほとんど知られていないが、アルバム『バルバトル:クラヴサン曲集第1巻全曲』を聴いて、多くの人が衝撃を受けるのではないだろうか。


クラヴサンとは、いわゆるチェンバロ、ハープシコードのフランスでの呼び名。西山まりえの演奏は、当時の貴族的美学をしのばせる深い色彩感ある響き、優雅さのなかに秘められた暗い情念で、いっときたりとも飽きさせない。

迫りくる革命を前に、滅びの予感に満ちた宮廷のなかで、これほど完成度の高い、クラヴサンの繊細かつ重厚な響きが、誇り高く鳴り響いていたとは! マリー・アントワネットとその時代に関心をもつ人は必聴の1枚である。(>>試聴できます)

【今日の一枚】
バルバトル:クラヴサン曲集 第1巻全曲
西山まりえ

発売/ナクソス・ジャパン
電話:03・5486・5101
2500円

文/林田直樹
音楽ジャーナリスト。1963年生まれ。慶應義塾大学卒業後、音楽之友社を経て独立。著書に『クラシック新定番100人100曲』他がある。『サライ』本誌ではCDレビュー欄「今月の3枚」の選盤および執筆を担当。インターネットラジオ曲「OTTAVA」(http://ottava.jp/)では音楽番組「OTTAVA Salone」のパーソナリティを務め、世界の最新の音楽情報から、歴史的な音源の紹介まで、クラシック音楽の奥深さを伝えている(毎週金18:00~22:00放送)

※この記事は『サライ』本誌2018年12月号のCDレビュー欄「今月の3枚」からの転載です。

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