仁清と乾山、京のやきものを牽引した2人の展覧会

取材・文/藤田麻希

京都でつくられた陶器である京焼は、桃山時代の後半に開かれました。当時は茶の湯が盛んだった時代です。都の茶人の注文に応えねばならない状況があったため、独自の発展を遂げました。

そんな京焼を牽引したのが、野々村仁清(ののむら・にんせい)と尾形乾山(おがた・けんざん)の二人です。

野々村仁清「銹絵雁香合」江戸時代 岡田美術館蔵

野々村仁清は、瀬戸で修行し、17世紀半ばに京都・仁和寺前に窯を開き、「御室焼」と呼ばれるやきものを作りました。鮮やかな色絵付の技術を完成させ、京焼に変化をもたらします。その華やかな作品は、公家や前田家などの大名家から好まれ、重用されました。

国産陶磁器で国宝に指定されているものは、わずか5件しかありませんが、仁清の作品がそのうちの2件を占めることから、現在でも高く評価されていることがわかります。

野々村仁清「色絵輪宝羯磨文香炉」(重要文化財)江戸時代 明暦3年(1657)岡田美術館蔵

「色絵輪宝羯磨文香炉」は、クリーム色の地に、赤、青、緑の釉薬で密教法具を描いた香炉。技術向上の願いが叶った御礼として、明暦3年(1657)に、仁清が仁和寺に寄進したものと考えられています。仁清の作品で制作年が明らかなものは、ほとんど残っていないため、貴重です。

尾形光琳・尾形乾山「銹絵白梅図角皿」 江戸時代 岡田美術館蔵

尾形乾山は、国宝「燕子花図屏風」で知られる尾形光琳の弟です。野々村仁清に学び、京都の鳴滝に開窯し、「乾山焼」と呼ばれる器を作りました。光琳の絵付による合作を手がけ、絵とやきものを融合させ、また、それまで主流だった茶道具だけでなく、鉢や皿など宴席の器を手がけ、京焼の幅を広げました。

尾形乾山「色絵竜田川文透彫反鉢」(重要文化財)江戸時代 岡田美術館蔵

「色絵竜田川文透彫反鉢」は、赤や黄に染まった紅葉を内側と外側の両面に配し、見込みに水の流れを描くことで、紅葉の名所である竜田川の景色を表しています。同種の作例はいくつかありますが、絵付けするときの目安となる彫線や、葉脈だけを残した葉など、乾山の試行錯誤の痕跡が残っている点で珍しい作品です。

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以上ご紹介した、仁清と乾山の重要文化財を含む作品がまとまって見られる展覧会『仁清と乾山―京のやきものと絵画―』が、箱根の岡田美術館で開催されています(~2018年4月1日まで)。

岡田美術館学芸員の塩谷尚子さんに見どころを伺いました。

「開館以来はじめて、当館収蔵の仁清の全作品を公開しています。制作年月が判明する稀少な作品『色絵輪宝羯磨文香炉』や、写実的な雁の香合、洗練された器形の水指など端正で雅やかな仁清の器をご覧いただけます。

一方、乾山の作品をすべて展示するのは、約2年ぶりとなります。華やかな秋の情景を凝縮した『色絵竜田川文透彫反鉢』をはじめ、当時人気商品であった角皿や向付、晩年に描いた掛軸まで、兄・光琳の作品と併せて、乾山が切り開いた新しいやきものの世界をお楽しみください」

行楽シーズンまっさかりの箱根で、器の名品を拝見しつつ秋の風情を楽しむのはいかがでしょうか。

【展覧会情報】
『特別展 仁清と乾山―京のやきものと絵画―』
■会期:2017年11月3日(金・祝)~2018年4月1日(日)
■会場:岡田美術館(神奈川県足柄下郡箱根町小涌谷493-1)
■電話番号:0460・87・3931
■開館時間:9時〜17時(入館は16時30分まで)
※ナイトミュージアム開催日は9時~19時(入館は18時30分まで)
■休館日:会期中無休(12月31日・1月1日休館)
■Webサイト http://www.okada-museum.com/

取材・文/藤田麻希
美術ライター。明治学院大学大学院芸術学専攻修了。『美術手帖』などへの寄稿ほか、『日本美術全集』『超絶技巧!明治工芸の粋』『村上隆のスーパーフラット・コレクション』など展覧会図録や書籍の編集・執筆も担当。

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