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幕末ファンの聖地!新選組隊員が眠る「壬生寺」で貴重な本尊が特別公開中【京の冬の旅 特別公開その5】

取材・文/田中昭三

いま京都では第51回「京の冬の旅」キャンペーンが実施されている。今回のテーマは「大政奉還150年記念」。江戸時代末期の慶応3年(1867)、徳川15代将軍慶喜は政権を朝廷に返上。ここに日本の近代化が始まった。

それを記念して、幕末ゆかりの寺院を中心に14か所で、日頃は非公開の文化財が特別公開されている。(~2017年3月18日まで)

そのなかで今回紹介するのは、新選組ゆかりの壬生寺(みぶでら)。近藤勇や沖田総司ら隊員たちはこの境内で訓練し、時には子供らと遊び、伝統芸能の壬生狂言に興じた。幕末維新ファンにとっての聖地である。

壬生寺の創建は正暦2年(991)。奈良仏教とも呼ばれる「南都六宗」のひとつ、律宗(りっしゅう)に属している。律宗は戒律の研究・実践を通して解脱を目指す宗派である。総本山は、中国の名僧・鑑真和上(687~763)が開いた奈良の名刹・唐招提寺(とうしょうだいじ)。京都の律宗寺院は、ここ壬生寺と洛西の法金剛院などごくわずかしかない。

公開されている本尊の延命地蔵菩薩立像(重文)

公開されている本尊の延命地蔵菩薩立像(重文)

壬生寺は昭和37年(1962)に本堂が全焼し、本尊の地蔵菩薩など多くの寺宝を失った。その後唐招提寺から延命地蔵菩薩立像(重文)が本尊として移された。現在本堂が特別公開されているので、この貴重な本尊も拝観することができる。古い地蔵菩薩の様式を残し、とりわけ截金(きりかね)文様が美しい。

この他、唐招提寺に伝わる国宝・鑑真和上坐像の「お身代わり像」も初公開されている。唐招提寺の鑑真和上坐像は奈良時代の造立で、我が国肖像彫刻を代表するもの。しかし年に数日しか公開されない。そこで現代技術を駆使して寸分違わず再現されたのが「お身代わり像」である。

幕末の文久3年(1863)、ここ壬生の地で新選組が結成された。東門前に屯所が置かれ、寺の境内は隊員たちの兵法調練場であった。鳩が遊ぶ境内に佇むと、激動の時代を必死に生きた若き隊員たちの息使いが聞こえてきそうである。

壬生狂言が演じられる大念佛堂の2階。

壬生狂言が演じられる大念佛堂の2階。

寺に伝わる狂言の面。

寺に伝わる狂言の面。

壬生寺といえば、鎌倉時代からの伝統を受け継ぐ壬生狂言が名高い。いまや京都を代表する宗教劇で、春と秋に特別公開される。近藤勇ら新選組の隊員たちも、この仮面をつけた無言劇をもちろん観賞し、つかの間の安息を楽しんだという。

舞台のある大念佛堂(重文)は安政3年(1856)の再建で、狂言堂とも呼ばれる。一般の能舞台とは異なり2階建てで、階上で狂言が演じられる。階下は楽屋や客間となり、舞台建築としてはあまり例のない構造である。

近年壬生寺を訪れる若者が増えている。彼らが目指すのは壬生塚という新選組隊士の墓所。そこには近藤勇の銅像が立ち、像の前には参拝者が捧げた絵馬が何枚も重なっている。その多くには、隊員たちの凛々しい顔が描かれている。

壬生塚に立つ近藤勇の像。

壬生塚に立つ近藤勇の像。

壬生塚に奉納された絵馬。

壬生塚に奉納された絵馬。

まさにマンガ時代の絵馬といえるが、彼らの短い人生は歴史の評価を越え、いまの若者たちの心を捕えているのである。

【壬生寺】
■住所:京都市中京区坊城仏光寺北入る
■公開日:2017年1月7日(土)~3月18日(土)。
■時間:10時~16時(受付終了)
■料金:大人600円(個人は予約不要)
■問合せ先:京都市観光協会 電話075・213・1717

※ 第51回 京の冬の旅キャンペーン公式サイト
https://kyokanko.or.jp/huyu2016/

取材・文/田中昭三
京都大学文学部卒。編集者を経てフリーに。日本の伝統文化の取材・執筆にあたる。『サライの「日本庭園完全ガイド』(小学館)、『入江泰吉と歩く大和路仏像巡礼』(ウエッジ)、『江戸東京の庭園散歩』(JTBパブリッシング)ほか。

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