
ライターI(以下I):藤吉郎(演・池松壮亮)が小一郎(演・仲野太賀)を連れて清須に向かうところで『豊臣兄弟!』第2回が終了しました。生母のなか(演・坂井真紀)、姉のとも(演・宮澤エマ)、妹のあさひ(演・倉沢杏菜)が、揃って小一郎を清須に送り出す「演技」が身に沁みました。なんかいい家族だなって……。
編集者A(以下A):藤吉郎と小一郎の兄弟ばかりに関心がいきがちですが、なか、とも、あさひの女性たちも要注目ですよね。今後のトピックスとしては、まだまだ先の話になりますが、藤吉郎が出世をして、現在の滋賀県長浜市で「城持ち大名」になる時にどんな描写になるのかが気になりますね。
I:いまは、中村で農民としてさまざまな仕事に従事していますが、長浜城主の家族としてどういう顔でお城に乗り込むのか――。藤吉郎と小一郎のサクセスストーリーばかりに気をとられがちですが、彼女たちの「シンデレラストーリー」にも注目ですよね。という流れのなかで、なか役の坂井真紀さん、とも役の宮澤エマさん、あさひ役の倉沢杏菜さんからコメントが寄せられました。
A:まずは、母なか役の坂井真紀さんが4人の子どもたちについて語ってくれました。
藤吉郎は、よく言えば瞬発力がある、悪く言えば暴走機関車のような子。でも人たらしな魅力があって、本当に目が離せません。なかは、藤吉郎びいきで、監督からも「〈藤吉郎ラブ〉でやってください」と言われています。池松君演じる藤吉郎がとても魅力的なので、しっかり〈藤吉郎ラブ〉でやらせていただいています(笑)。
もちろん、小一郎のことも同じくらい大切に思っています。兄とは対照的に冷静で、一歩引いて周りを見ることができる、家族思いの子。なかにとっては、気持ちが揺れた時に立ち返れる存在で、「この子がいてくれるから大丈夫」と思わせてくれる息子です。
とも(宮澤エマ)は、私(なか)よりもしっかり者で、家族をまとめてくれる頼れる存在。あさひはのびのびとしていて「末っ子らしい」という言葉がぴったりな可愛らしい子です。家族のシーンは、太賀君も池松君も「癒やされる」と言ってくれていて、だからこそ、外での戦いのシーンがどれほど大変だったのか、そして、あの時代を生き抜くこと自体がどれほど過酷だったのかも伝わってきます。
I:家族のシーンが癒されるっていうのは、私も同感です。多くの視聴者もそう感じている方が多いのではないかと思ったりします。確かにこの家族が「城持ち大名」の家族としてどんな表情を見せるのか、すごく楽しみです。
A:坂井真紀さんは、さらに、こんな話を寄せてくれました。兄弟の生母なかを演じることについてです。
これまで多くの名だたる俳優さんが演じてこられた役なので、正直なところ意識もしましたし、「自分で大丈夫だろうか」という不安もありました。ですが、制作統括の松川(博敬)さんから、「今までの〈なか〉は意識せずにやりましょう」という言葉をいただき、背中を押していただきました。
I:なるほど。
A:これまで兄弟の生母なかを演じてきたのは、赤木春恵さん(1981年『おんな太閤記』)、市原悦子さん(1996年『秀吉』)と、インパクト大の演者です。制作統括が「意識せずに」といっても、オールドファンはどうしても比べてしまうでしょう。でも、『豊臣兄弟!』は、本当の家族のような雰囲気が漂っていて、なんだかすごく入り込んでくるんですよね。
I:そうですよね。坂井真紀さんと宮澤エマさん、倉沢杏菜さん、ほんとうの親子みたいですよね。
秀吉にわが子が翻弄される運命

A:続いて、『鎌倉殿の13人』(2022年)で、北条政子の妹で源頼朝の弟全成の妻だった実衣を演じた宮澤エマさんのコメントです。豊臣兄弟の姉、ともについて語ってくれました。
少年漫画のようなまっすぐさを持った物語ですね。歴史にあまり詳しくない方でも知っている人物・時代を取り上げる今作ですが、ド真ん中・ド直球で勝負するタイプの作品だと思います。下から上へと上り詰めていくワクワク感があり、無謀にも思えるような野望を少しずつ達成していくストーリーが、おもしろいんです。これまでは秀吉にスポットライトが当たりがちでしたが、今作は秀長(小一郎)が主人公で、秀吉(藤吉郎)とともにみんなを魅了していく。そんな兄弟の様子を、少年漫画のヒーローを応援するかのように、ぜひ最後まで追いかけていただきたいです。
I:姉のともの生む男子たちが豊臣家に翻弄されることになるのですが、いったいどういう形で宮澤エマさんが絡んでくるのか。私はそこに注目しています。そして最後に、「豊臣家族!」の「末っ子」あさひを演じる倉沢杏菜さんのコメントをどうぞ。
あさひは家族の中でいちばん天真らんまんですごく明るい子です。お母ちゃん(なか)や姉様(とも)が、毎日必死にやりくりしている貧しい農民暮らしの中でも、食べることが大好きなあさひは素直に「おなかすいた」って言えちゃうんです(笑)。お母ちゃんや姉様、小一郎兄様は、あさひがおなかをすかせないように、そして楽しく過ごせるように、すごく愛情をかけてくれていると思います。
そんなあさひの役作りのために、クランクイン前に京都府の東福寺や静岡県の瑞龍寺など、あさひゆかりの地を巡りました。あさひが登場する歴代の作品も可能な限り視聴し、情報を集めました。ただ今回は『豊臣兄弟!』としてのあさひを演じるので、インプットしたものは一度手放し、脚本家の八津(弘幸)さんが描くあさひを魅力的に演じることを心がけています。
A:倉沢さんは『光る君へ』(2024年)で藤原道長の二女妍子を演じました。今回、クラインクイン前に京都の東福寺、静岡の瑞龍寺を訪れたそうです。いずれもあさひゆかりの寺院です。東福寺の塔頭の南明院にはあさひの肖像画が残されていて、お墓もあります。静岡の瑞龍寺は後に徳川家康の正室となるあさひの菩提寺で、こちらにも分骨されていてお墓があります。政略結婚とはいえ、徳川家もしっかり菩提を弔っていたということでしょう。なんだか、お参りしたくなってきましたね。

●編集者A:書籍編集者。かつて編集した『完本 信長全史』(「ビジュアル版逆説の日本史」)を編集した際に、信長関連の史跡を徹底取材。本業では、11月10日刊行の『後世に伝えたい歴史と文化 鶴岡八幡宮宮司の鎌倉案内』を担当。
●ライターI:文科系ライター。月刊『サライ』等で執筆。猫が好き。愛知県出身なので『豊臣兄弟!』を楽しみにしている。神職資格を持っている。
構成/『サライ』歴史班 一乗谷かおり











