辞書で調べた意味と、ネイティブが実際に使う意味がちょっと違う? そんな微妙なズレに気づいたときこそ、語感のセンスが磨かれるチャンスです。今回は、よく耳にする日本語と、リアルな英語との微妙な意味の違いについてご紹介しましょう。

“match” の意味は?

“match” という言葉には、いくつもの意味があります。名詞では、火をつけるためのマッチ試合、そして相撲などでいう取り組み

動詞では、調和する・似合う・匹敵するといった意味で使われます。

その中でも今回は、「似合う」「相性がいい」「ぴったりと組み合わさる」というニュアンスに焦点を当ててご紹介します。

日本語の「マッチする」と英語の “match” にズレがある?

英語の “match” には、もともと(2つ以上のものが調和する/ぴったり合う)という意味があります。何と何が合っているのかが、はっきりしているのが特徴です。

たとえば、

1. “The curtains match the sofa.”
(カーテンはソファと調和してる。)「カーテン/ソファ」

2. “These shoes match your dress.”
(その靴、ドレスに似合っているね。)「靴 /ドレス」

3. “We really matched well on this project.”
(一緒に仕事をして、とても相性が良かった。)「私 / 相手)」

つまり、英語の “match” は、2つが調和する関係で使われることが多いのです。

一方、日本語の「マッチする」は、

「このデザイン、ブランドの世界観とすごくマッチしてる。」
「この照明、空間の雰囲気にぴったりマッチしてる。」

など、もう少し幅広いニュアンスがありますね。

では英語で、「マッチする・合う」と言いたいとき、どのような言い方ができるのでしょうか。ここではよく使われる3つの動詞をご紹介します。

1. “match”(色・形・柄などが同じ系統でぴったり揃う)

“The tie matches his eyes.”
(ネクタイが彼の目の色とぴったり合っている。)

“Our tastes in music match pretty well.”
(音楽の好みが結構合うね。)

2. “go with”(デザインや雰囲気が調和して合う)

“That hat doesn’t really go with your style.”
(その帽子、あなたのスタイルにはあんまり合わないかな。)

“Does this sweater go with these pants?
(このセーター、このパンツに合う?)

3. “suit”(その人に似合う/人の個性と調和する)

“A simple lifestyle suits him well.’
(シンプルな暮らしが彼にはよく似合っている。)

“They really suit each other. Such a lovely couple.”
(2人は本当にお似合い。素敵なカップルだね。)

他にも、
“fit”(サイズ・役割・状況にあう)
“appropriate”(場面にふさわしい)

など、文脈に応じてさまざまな表現があります。

シーンごとに使い分けるのは少し難しいですが、ゆっくりと感覚を身につけられるといいですね。

「マッチングアプリ」は英語でも通じる?

最近よく耳にする「マッチングアプリ」。実は、和製英語です。“match” を使って、“matching system” や “matching service” という場合、就職活動や保護動物の里親探し、結婚相談所など、幅広い分野で使われる言葉になります。

恋愛に特化したアプリをさす場合、一般的な表現は、 “dating app” といいます。ただし、アプリの中で、「マッチした。相性が合う人とつながった」というニュアンスでは、日本語と同じように使うことができます。

例:
“We matched on Tinder.”
(ティンダーでマッチしました。)

“I got three new matches today.”
(今日は、3人とマッチ[相性の良い相手]した。)

などのように使います。

最後に

英語では、「靴下を揃える」や「左右をぴったり合わせる」ことを “match one’s socks” と言います。また、服や小物が、“matching clothes” などといえば、「おそろい」や「セットになっているもの」という、日常的な表現になります。

“Are your socks matching?”
(靴下、左右そろってる?)

私たちが日本語の感覚で「マッチング」と言ったとき、英語話者の頭の中には、もしかしたら、「揃った靴下」のようなイメージが浮かんでいるかもしれないと思うと、ちょっとおもしろいですね。

次回もお楽しみに!

●執筆/池上カノ

日々の暮らしやアートなどをトピックとして取り上げ、 対話やコンテンツに重点をおく英語学習を提案。『英語教室』主宰。 その他、他言語を通して、それぞれが自分と出会っていく楽しさや喜びを体感できるワークショップやイベントを多数企画。
インスタグラム

●構成/京都メディアライン・https://kyotomedialine.com

 

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