みなさんは、「スターバックス」の意味を考えたことがありますか? シアトル発祥の、この人気コーヒーチェーン店の名前には、意外なストーリーが隠されています。今回はその由来をひも解きながら、英語にまつわる言葉の面白さを探ってみましょう。

目次
“Starbucks”(スターバックス)はどこからきた?
“Starbucks”の “bucks”ってなに?
お金にまつわる表現
最後に
“Starbucks”(スターバックス)はどこからきた?
“Starbucks” (スターバックス)という名前の語源は、アメリカの作家ハーマン・メルヴィルの小説『白鯨(Moby-Dick)』に登場するキャラクター「スターバック(Starbuck)」からきました。彼は捕鯨船の副船長であり、静かで少し几帳面で保守的な人物として描かれています。
創業者たちがこの名前を選んだのは、かつてコーヒー商人たちが大海原を航海した歴史に想いをはせ、海とコーヒービジネスとの深いつながりを感じたからだそうです。
また、スターバックスのロゴに描かれているのは、ギリシャ神話に登場する海の女神「セイレーン」です。彼女は美しい歌声で船乗りたちを魅了し、時には海に引き込んで死へと誘ったとしても知られています。その神秘的な魅力は、ロゴのイメージからも伝わってきますね。
“Starbucks”の “bucks”ってなに?
“Star” は(星)ですが、 “bucks” はアメリカでよく使われるスラングで、「ドル」という意味です。1ドルは、 “a buck”、30ドルは “thirty bucks” といいます 。正式な文書やビジネスの場では通常 “dollar” が使われ、 “buck” はカジュアルな場面で使われることが多いです。

“buck” ということばは、雄ジカのなめし革 “buckskin” (バックスキン)に由来しています。19世紀中頃のアメリカでは、開拓者たちが雄ジカの皮を物々交換として使っていたため、“buck” が「ドル」を指すようになったそうです。
『プログレッシブ英和中辞典』(小学館)には、 “buck”は、7つの意味が紹介されている中の2つ目に「((米・豪・略式))ドル;金」と書かれています。
お金にまつわる表現
「お金」は英語で “money” ですが、実はそれ以外にも、お金にまつわる英語表現がたくさんあります。
1. cash
「現金」を意味し、紙幣や硬貨などの物理的なお金を指します。
例:
Shop assistant: Card or cash?
(カードですか? 現金ですか?)
Customer: Cash, please.
(現金でお願いします)
旅に出るとこんなやりとりを耳にすることがよくありますね。
2. bread
“bread”は「パン」という意味ですが、「お金」として使われることもあります。パンは生活に欠かせないものであり、お金も同じく必要不可欠であるという考えから生まれた表現です。
例:I need to make some bread to pay for our children’s school fees.
(子どもたちの学費の支払いのために稼がないと。)

3. fare
バスや電車、タクシー、飛行機などの「運賃」や「乗車料金」を意味します。
例: The taxi fare from the airport to the city center is quite expensive.
(空港から市内までのタクシー料金は結構高い。)
4. fee
「料金」「手数料」という意味です。授業料や入場料、サービスに対する支払いなどに使われます。
例: The admission fee for the theme park is 5,000 yen.
(あのテーマパークの入場料は5000円です。)
また、医師、弁護士、習い事などの専門家に支払う料金も “fee” です。
例:The monthly fee for lessons with the tea master can be quite high.
(お茶の先生のお稽古代は高額になることがありますよ。)
など、場面によって使い分けることができます。
最後に|本当の豊かさとは?
オーストリアやドイツで活躍した、ルドルフ・シュタイナー(1861-1925)は哲学博士でありながら、教育、芸術、医学、農業、建築など、多くの分野に影響を与えた思想家でした。
シュタイナーは、フランス革命のスローガン「自由・平等・友愛」をもとに、社会の理想形として「精神の自由・法の平等・経済の友愛」の調和を提唱しました。
この社会の3つの層のうち、「経済の友愛」は、助けあい、分かちあうことを理想としています。私たちはお金があれば安心でき、不足すると不安を感じるものです。現代の暮らしに欠かせない大切なお金ですが、もし本来の経済が、「助けあい、分かちあうもの」だとしたら、互いに支えあいながら、豊かさを育んでいく社会を目指すことは、今の時代にも大切なのではないでしょうか。
最後に、『アンネの日記』の著者、アンネ・フランクの言葉をご紹介します。
People who give will never be poor.
— Anne Frank与える人は、決して貧しくならない。
出典: Anne Frank’s Tales from the Secret Annex (2008年, Random House刊)
— アンネ・フランク
分かちあう心が、これからの経済や社会を豊かにしていくのかもしれません。
次回もお楽しみに!
●構成/京都メディアライン・https://kyotomedialine.com
