28歳で大河主演、蔦重役の横浜流星さん。(C)NHK

ライターI(以下I):『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(以下『べらぼう』)が1回お休み週ということで、恒例の好き勝手に放談する回にしたいと思います。

編集者A(以下A):はい。キーワードは「28歳」です。蔦屋重三郎を演じる横浜流星さんは大河ドラマ初登場で初主演。大河ドラマ主演の年に日本アカデミー賞主演男優賞を受賞するという快挙を成し遂げました。今年28歳。今後、50年くらい大河ドラマを沸かせてくれる俳優の誕生です。

I:キーワードは28歳? どういうことでしょう。

A:はい。『べらぼう』では、老中松平武元役として石坂浩二さん、同じく田沼意次役として渡辺謙さんが登場しています。石坂浩二さんは、1965年の『太閤記』で石田三成役として大河ドラマデビューを果たし、1969年の『天と地と』の上杉謙信役で大河ドラマ初主演なのです。この年、石坂浩二さんは28歳。

I:あ、横浜流星さんと同じ28歳! 

A:石坂さんは、大河ドラマ黎明期、三作目の『太閤記』から出演している「大河ドラマのレジェンド俳優」。初めて主演した『天と地と』で、武田信玄を演じたのが高橋幸治さん。『太閤記』と『黄金の日日』で織田信長役を演じた名優です。

I:『べらぼう』で演出を担当している大原拓さんのご尊父大原誠さんの著書『NHK大河ドラマの歳月』などによると、『天と地と』は大河ドラマ初のカラー作品で、ヘリを飛ばして上空からの絵をとるなど大河ドラマ史に刻まれる作品なんですよね。

A:そうです。そして28歳で大河主演デビューした石坂浩二さんは、それ以降、『元禄太平記』(1975)の柳沢吉保役で再び主役を演じます。といっても、私はこの作品は総集編しかみたことがありません。1979年『草燃える』の源頼朝役で北条政子役の岩下志麻さんとW主演的な登場となります。当欄で幾度も語っていますが、私が通しで初めてみたのが『草燃える』。いまでも騎馬姿の頼朝、石橋山合戦時の洞窟での頼朝、早口で無断任官した御家人を罵倒する頼朝、平泉で義経の死に接し慟哭する頼朝などの姿が思い浮かびます。

I:なるほど。『草燃える』を見てしまったが故に、現在のAさんがいるわけですね。さて、石坂さんは、その後も『徳川家康』(1983)で納屋蕉庵役、『八代将軍吉宗』(1995)で間部詮房、『元禄繚乱』(1999)で吉良上野介、『新選組!』(2004)では佐久間象山を演じています。このころのことは私も知っています。

A:さらに『江~姫たちの戦国~』(2011)には千利休ときて、今年の『べらぼう』に至るわけです。先日、『べらぼう』の取材会で石坂浩二さんにインタビューする機会をいただいたので、NHKオンデマンドで『八代将軍吉宗』や『元禄繚乱』の石坂さん登場回を見返してみました。間部詮房は、6代将軍徳川家宣の最側近(側用人)なのですが、間部詮房の台詞回しが絶妙で感じ入りました。家宣役の細川俊之さんも独特の台詞回しですから、このふたりの絡みは今さらながらしびれました。吉良上野介の最期もやっぱり印象的でしたね。

I:そうやって夜更かしばっかりしていたら身体壊しますよ。

A:『天と地と』で28歳。56年後の今も大河に出演しているわけですから、横浜流星さんも50年後にどんな役を演じているだろうかと想像しちゃいますよね。そのとき私はこの世の人ではないかもしれませんが。

【あの独眼竜政宗も「28歳」! 次ページに続きます】

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