豪勢な暮らしと突然の転落

瀬川を身請けした後も、鳥山検校は贅沢な生活を続けました。しかし、安永7年(1778)に事態は急変します。この年、幕府は悪質な高利貸しを一斉に摘発し、鳥山検校もその対象となりました。彼は全財産を没収され、江戸から追放されることになります。

瀬川との関係がその後どうなったのかについては、詳しい記録が残っていません。

わずか数年で栄華から転落した鳥山検校の人生は、まさに浮き沈みの激しい江戸時代の象徴ともいえるでしょう。

検校とは何か?

「検校」とは、盲人に与えられる最高の官位です。中世から続く当道座(とうどうざ)という組織の中で、初心、座頭(ざとう)・勾当(こうとう)などの位を経て、最も高位に達した者が「検校」と称されました。

江戸時代になると、検校の地位はさらに確立され、幕府による保護と統制のもと、盲人たちは鍼灸や按摩、琵琶演奏などの職業を独占できるようにはかっていました。また、彼らは「座頭金」と呼ばれる高利貸し業も営むことを許され、一部の検校は巨額の富を築いたのです。

しかし、高利貸しによる利権が膨れ上がるにつれて、幕府は次第に規制を強めていきました。鳥山検校のように、富を築きながらも最後には追放されるケースも珍しくありませんでした。

まとめ

鳥山検校は、盲人の最高位「検校」として巨万の富を築き、吉原一の花魁・五代目瀬川を1,400両で身請けしたことで有名になりました。しかし、豪勢な生活を続けたのも束の間。幕府の高利貸し取り締まりによって財産を没収され、江戸から追放されるという劇的な転落を経験しました。

鳥山検校が生きた波乱万丈の人生は、現代においてもなお興味深い題材となっています。

※表記の年代と出来事には、諸説あります。

文/菅原喜子(京都メディアライン)
肖像画/もぱ(京都メディアライン)
HP:http://kyotomedialine.com FB

引用・参考図書/
『日本大百科全書』(小学館)
『世界大百科事典』(平凡社)
『国史大辞典』(吉川弘文館)

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