水戸黄門を彷彿させるおもしろ場面
I:さて、賢丸の田安家襲封を阻んだ「吉宗の意向」は事実のようですね。巷間、稲葉正明という春日局の流れを汲む幕閣が賢丸にそのことを知らせたようですが、劇中では、意次が「吉宗の意向」を記す文書をわざわざ用意したという風に描かれました。
A:賢丸が日頃「吉宗公、吉宗公」といっている手前、「吉宗の意向」の前にはひれ伏さざるを得ない。まるで「三つ葉葵の御印籠」のような形で、「偽文書」を利用したという痛快な展開になりました。めちゃくちゃ面白い場面でした。
I:水戸黄門のようでしたね。「吉宗公のご意向が目に入らぬか!」って感じでしょうか……。意次VS賢丸の第一ラウンド。まずは、意次の完勝ということですね。ラウンドが進むにつれ、どういう展開になっていくのか? 時代劇ファンとしては楽しみが尽きないのではないですか。
A:こうした幕閣の暗闘が、やがて市井の蔦重(演・横浜流星)のビジネスにも大きく影響を与えてくるわけです。どう絡んでくるのか、要注目ですね。
I:賢丸が再び「足軽上がり」と罵倒していたのが印象的です。
A:実際には足軽ではなかったわけですから、賢丸による「印象操作」。今後もどんどん叫んでほしいですね。
●編集者A:書籍編集者。『べらぼう』をより楽しく視聴するためにドラマの内容から時代背景などまで網羅した『初めての大河ドラマ べらぼう 蔦重栄華乃夢噺 歴史おもしろBOOK』などを編集。
●ライターI:文科系ライター。月刊『サライ』等で執筆。猫が好きで、猫の浮世絵や猫神様のお札などを集めている。江戸時代創業の老舗和菓子屋などを巡り歩く。
構成/『サライ』歴史班 一乗谷かおり