
ライターI(以下I):大河ドラマの石田三成役の第1号は、1965年の『太閤記』の石坂浩二さんになります。当時、石坂浩二さんは慶応義塾大学に通う大学生だったそうです。以降、主だったものを挙げても、近藤正臣(『黄金の日日』)、宅麻伸(『おんな太閤記』)、鹿賀丈史(『徳川家康』)、奥田瑛二(『独眼竜政宗』)、伊武雅刀(『春日局』)、真田広之(『秀吉』)、江守徹(『葵 徳川三代』)、原田龍二(『利家とまつ』)、中村橋之助(『功名が辻』)、小栗旬(『天地人』)、萩原聖人(『江 姫たちの戦国』)、山本耕史(『真田丸』)、中村七之助(『どうする家康』)と、錚々たる面々が石田三成を演じています。
編集者A(以下A):まさにスターだらけですね。
I:『豊臣兄弟!』で石田三成を演じているのは松本怜生さん。愛媛県出身の26歳だそうです。『太閤記』で三成を演じた石坂浩二さんが大学生だったそうですから、少し年上になりますが、新進気鋭の俳優ということになります。その松本さんから談話が寄せられました。
今回、オーディションを経て石田三成を演じることになりました。武将の中では個人的に加藤清正が好きなのですが、なぜか父からはオーディションの前に「お前が受かるなら石田三成役だ」と言われました(笑)。三成には、冷静で賢い武将というイメージを持っていましたし、戦国ファンの方の中にも「三成にはクールであってほしい」と期待されている方が多いのではないでしょうか。
ただ、『豊臣兄弟!』はコメディ要素の多い作品でもあるので、三成が他の武将にいじられるようなシーンもあると、より楽しめるのかなと感じています。どこか抜けている部分もあったと思うので、ずっと硬派なだけではなく、緩急のある人物にできたらいいなと。今後、三成のかわいげのある部分もお見せできたらうれしいです。
A:いじられる部分もあるようですね。ちょっと楽しみです。仲野太賀さん、池松壮亮さんとの共演についても話してくれています。
毎日が刺激的です。覚悟はしていましたが、実際に秀長(小一郎/長秀/演・仲野太賀)と秀吉(演・池松壮亮)のおふたりとお芝居をすると、自分はまだまだだと痛感します。おふたりに負けない熱量を持ちたいと思いながらも、僕より何十倍も出番が多い中で、いつお会いしても変わらず役に向き合い続けている姿には、ただただ圧倒されます。歴史上の人物を演じているというよりも、本当に血の通った人間が目の前に存在しているように感じられるんです。おふたりのすごさを言葉で表現するのは難しいですが、こうしてご一緒できる時間を1分1秒大切にしていきたいです。
I:メインキャストの仲野さんと池松さんに対する敬意が伝わってくるお話ですね。三成初登場の場面も印象的でしたが、演じる松本さんから見たら三成はどんな人物なのでしょうか。
まず、秀吉の家臣にいわばオーディション形式で選ばれるのが、『豊臣兄弟!』らしくて面白いなと思いました。計算の速さを見せるシーンもありましたが、彼のように先読みする部分は僕にも通じるところがあるかもしれません。説明の途中で、僕なら俵を数え始めているかも、と考えたりしましたね(笑)。
また第三の試練では、三成が藤堂高虎(演・佳久創)に座禅を組んだまま運ばれるシーンがありました。「座禅のまま運ばれたら面白いですよね」と佳久さんにお話ししたところ、「いけるよ」と言ってくださって。実はこのシーンは何回も何回も撮影していて、そのたびに抱えていただいています。このときが初対面だったのですが、「高虎が佳久さんでよかったな」と感じましたし、三成の登場初回からユーモアを交えて描いていただけたのもうれしかったです。
そして三成は、言いつけに背いて4人全員を家臣にしてほしいという提案を秀吉に行います。普通なら、そのような提案は通らず、失格になってもおかしくない場面ですが、それでもあえて提案する。三成は、正しいと思ったことにまっすぐな人物なので、そのときは殿を説得することしか考えていなかったのだと思います。ひとつの目的を成し遂げるためには、そのこと以外は考えない。そんな印象を受けた場面でもありました。
A:なるほど。劇中でも「家臣選抜試験」の様子が描かれたわけですが、実際にNHKのオーディションを受けていたんですね。
I:NHKのオーディションってどんなことをするのですかね? 今度そういう話もしてくれたらうれしいですね。
A:いずれにしても第18回を見る限り、これまでとは異なる「石田三成」を見ることができそうです。松本さんは視聴者の期待に応えてくれるでしょうか。
I:楽しみですね。
●編集者A:書籍編集者。かつて『完本 信長全史』(「ビジュアル版逆説の日本史」)を編集した際に、信長関連の史跡を徹底取材。本業では、11月10日刊行の『後世に伝えたい歴史と文化 鶴岡八幡宮宮司の鎌倉案内』を担当。
●ライターI:文科系ライター。月刊『サライ』等で執筆。猫が好き。愛知県出身なので『豊臣兄弟!』を楽しみにしている。神職資格を持っている。
構成/『サライ』歴史班 一乗谷かおり











