正しい意味を理解し、適切に漢字が使えているのか、疑問を感じることが増えていませんか? 適当に漢字を使ってしまい、気付かないところで「恥をかいている」ということがあるかもしれませんね。
Google 先⽣やデジタルデバイスの出現により、便利になった反⾯、情報の中⾝については⼗分な吟味が必要な時代になっております。あなたの“漢字の知識”は確かでしょうか? もう⼀度、確認しておいても良いかもしれません。
「脳トレ漢字」第223回は、「窯業」をご紹介します。使われている漢字をよく見ると、読み方が分かるかもしれません。実際に読み書きなどをしていただき、漢字への造詣を深めてみてください。
「窯業」とは何とよむ?
「窯業」の読み方をご存じでしょうか? 「かまぎょう」ではなく……
正解は……
「ようぎょう」です。
『小学館デジタル大辞泉』では、「粘土などの鉱物質原料を窯や炉で高熱処理をして、陶磁器・瓦やガラス・セメント・耐火物などを製造する工業。」と説明されています。陶磁器やガラスなどの窯業製品は「セラミックス」と呼ばれますが、これは古代ギリシア語の「keramos(ケラモス、焼き物)」に由来するそうです。
日本における窯業の歴史は、縄文時代までさかのぼります。古墳時代後期にかけて、1000度を超える高温で長時間焼くことのできる穴窯とろくろの技術が大陸から伝わり、形がよく耐久性に優れた陶器が作られるようになりました。
その後は、日本独自の技術によって発展を遂げ、現在でも岡山県の備前や愛知県の瀬戸、滋賀県の信楽(しがらき)などが、焼き物の名産地として知られています。
「窯業」の漢字の由来は?
「窯」を構成する「穴」は「かまど」を表しているとされ、「羔」は「子羊」を意味し、丸いことと火に関係しているそうです。そこから、「土器を焼くかまど」という意味が生まれたと考えられます。
「信楽たぬき」はなぜ有名?
2019年に放送されたNHK連続テレビ小説『スカーレット』の舞台になったことでも知られる、信楽町。「六古窯(ろっこよう)」の一つにも数えられ、ここで生産される信楽焼は、世界的にも高く評価されています。信楽焼といえば、たぬきの置物を思い浮かべるという方も多いのではないでしょうか?
信楽たぬきの姿かたちは、「八相縁起(はっそうえんぎ)」と呼ばれる縁起を表しています。例えば、たぬきが被っている笠には「思いがけない災難を避ける」という意味があり、大きな目には「周囲に気を配り、正しい判断ができるように」という願いが込められているのです。
愛らしいフォルムが特徴的な信楽たぬきですが、比較的歴史が浅く、作られ始めたのは明治時代以降とされます。当初はリアルなたぬきに近い見た目で、現在の可愛らしい感じではなかったそうです。そんな信楽たぬきが全国的に有名になったのは、昭和天皇の信楽行幸がきっかけだったといわれています。
昭和26年(1951)、信楽に行幸される昭和天皇を歓迎するため、地元の人々が日の丸の旗を持たせた信楽たぬきを沿道にたくさん並べたそうです。これに感動された天皇は、「をさなどき あつめしからに 懐かしも 信楽焼きの 狸をみれば」という歌を詠まれ、全国的に報道されたといわれています。
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いかがでしたか? 今回の「窯業」のご紹介は、皆さまの漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか? 誰でも一度は目にしたことのある信楽たぬきですが、全国的に有名になったのは割と最近のことなのですね。
どこかで信楽たぬきを見かけた際には、今回ご紹介したエピソードをぜひ思い出してみてくださいね。
文/とよだまほ(京都メディアライン)
HP:https://kyotomedialine.com FB
参考資料/『デジタル大辞泉』(小学館)
『日本国語大辞典』(小学館)
『世界大百科事典』(平凡社)