世渡りベタな為時

真面目で不器用な為時(演・岸谷五朗)。(C)NHK

I:私が凄いなと思うのが、為時を演じる岸谷五朗さんです。真面目で世渡り下手な様子がものすごく伝わってきます。

A:岸谷五朗さんは、『江 姫たちの戦国』での豊臣秀吉、『青天を衝け』での井伊直弼役など今作で大河ドラマ4作目の出演になるのですが、せりふ回し、表情、佇まい、どれをとっても心にしみ込んできます。ドラマを引き締めている印象です。

I:SNSなどでは、若手貴族らのことが話題ですが、藤原兼家役の段田安則さんもそうですし、脇を固める名優の方々の演技に触れるのも本作の楽しみのひとつですよね。

A:その藤原為時ですが、世渡り下手という姿が描かれています。右大臣兼家の口利きで、師貞親王(花山帝)の学問指南を務めることとなり、新帝として即位した後は、蔵人(天皇側近)の地位を得ます。劇中では、兼家から間者として帝の動静を報告する役割を与えられる。ところが、その仕事が嫌になって、間者をやめることになる。

I:宣孝(演・佐々木蔵之介)にも指摘されていましたが、ここを踏ん張れば、さらなる出世の芽があったにもかかわらずです。

A:現代でもそうですが、いやなことをやってまで出世したくない、いやな上司にこびへつらってまで出世したくないという人がいますし、逆にしっぽをふってまで引き上げてもらおうとする人、なりふり構わず上昇しようとする人などさまざまです。為時は、清貧の人だったのでしょう。

I:なるほど。確かに清貧の人という感じがしますが、岸谷五朗さんの演技が本当にいいですよね……。さて、この一連の場面で、兼家が倒れた際に、医師が「魂が去らぬように、呼び戻されるのがよろしゅうございます」という台詞がありました。

A:魂呼びですかね? 魂を呼び戻そうという現代の感覚からすると呪術っぽいですが、当時は真剣だったのでしょうね。

盗賊の正体は直秀。次ページに続きます

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