織田信雄という人物をどう考えるのか

織田信長の次男信雄(演・浜野謙太)。(C)NHK

I:ところで、先程話に出た織田信雄ですが、だいたいの本では織田信雄は愚将として描かれることが多いような気がしますし、本作でもどうにもバカっぽく描かれていましたが、実際の信雄はどうだったのでしょう。

A:愚将かどうかはともかく、本能寺の変が起こるまで信雄は北畠に養子に行っていて織田に復姓したばかり。いったん他家に出た人物であるという前提があり、なおかつすでに信長は本能寺の変のはるか以前に家督を嫡男の信忠に譲っていましたから。

I:私は、実際にはあそこまで愚鈍な感じではなかったのではないかと思ったりします。

池田恒興とその子孫たち

当時、大名となり美濃を領していた池田恒興(演・徳重聡)。(C)NHK

I:さて、池田恒興(演・徳重聡)が登場しました。どんな人物なのでしょうか。

A:池田家というのは、江戸時代には岡山藩、鳥取藩と大藩を領します。それがどのような経緯で構築された地位なのか、この段階から追っていくと面白いと思いますね。結局最後は家康と縁戚関係になるわけですし。そして、池田恒興と行動をともにしていた森長可(ながよし/演・城田優)は、信長に殉じて、本能寺で討ち死にした森乱(演・大西利空)、坊、力の森三兄弟の兄にあたる人物です。劇中でも「鬼むさし」といわれたように勇猛な人物だったのでしょう。

I:長可の兄も信長の朝倉攻めに従軍して討ち死にしているのですよね。

A:なんか、思うのですよね。本作のコンセプトが、弱弱しかった家康が天下を獲る物語。それはそれでいいのですが、やはり瀬名の事件後は覚醒させてほしかったと思っています。今週は髭をたくわえ、今後の展開に期待が持てそうな流れになって来ました。せっかく40年ぶりの単独主人公となったわけですから、直球の「家康物語」を展開して欲しかったですし、堂々とした重厚な「松潤家康」をもっともっと早くに見たかったなあと思ったりします。

城田優演じる森長可(演・城田優)。(C)NHK

猿と兎(狸)の戦いが始まる

I:今週はそのほかに井伊直政(演・板垣李光人)が武田遺領を取りまとめる立場になったことが描かれ、後の「井伊の赤備え」のルーツにふれられるなど、盛りだくさんな内容でした。久々におむすびを握りながら「勝て、勝て、勝て」というシュプレヒコールも登場しました。於大の方(演・松嶋菜々子)の姿が見えなかったのが寂しかったですが……。

A:ちなみに於大の方はこのころまだ健在です。剃髪して伝通院と称していました。

I:さて、なんやかんやで家康と秀吉の戦いが始まりますね。

A:劇中「猿を檻に入れましょう」という台詞が飛び出したくらいですから、なんだかんだいって、「猿VS白うさぎ(狸)」のアニマル大戦争の様相を呈してきました。

I:いったいどんな戦いになるのでしょうか。

いよいよ、家康と秀吉が正面衝突する小牧長久手の戦いが始まった。(C)NHK

●編集者A:月刊『サライ』元編集者(現・書籍編集)。歴史作家・安部龍太郎氏の『日本はこうしてつくられた3 徳川家康 戦国争乱と王道政治』などを担当。『信長全史』を編集した際に、採算を無視して信長、秀吉、家康を中心に戦国関連の史跡をまとめて取材した。

●ライターI:三河生まれの文科系ライター。月刊『サライ』等で執筆。『サライ』2023年2月号 徳川家康特集の取材・執筆も担当。好きな戦国史跡は「一乗谷朝倉氏遺跡」。猫が好き。

構成/『サライ』歴史班 一乗谷かおり

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