このシーンを撮影した数日後、松本くんとスタジオで再会しました。開口一番、「まだ回復しません」と言われたので、それほど心に残るシーンになったのなら良かったですし、信長として家康にバトンを渡し、次のステージに送り出せたのかなと安堵したのを覚えています。
I:これはいい話ですね。毎度思うのですが、こういう話はオンエアの前に聞かせて欲しかったですね(笑)。そして、岡田さんの話は所属事務所の後輩でもある松本潤さんの話題へと続きます。先輩らしい温かい目線に注目です。
松本くんと話したこともあるのですが、第40回に突入するまでに、自分なりの答えを見つけてくれると良いなと思っています。人それぞれ意見はあると思いますが、結局は自分で「これが家康だ」と胸を張って言えた時に初めて本当の家康になれると思いますし、それはドラマを見てくださる方にも伝わるものだと思います。でも、そこまで到達するには、頭に描いたプランをなぞるだけではだめで。スタッフやキャストの皆様とセッションしてピースを拾い集めて感情を爆発させて、作り上げた先にあるものだと思っています。彼なら、それを掴み取ってくれると信じています。
I:当欄では第1回放送前から主演の松本潤さんの本作にかける熱量について言及してきました。岡田さんの言うように「本当の家康」を掴み取ることができると信じていきたいですね。そして、岡田さんは新たな『どうする家康』が第29回から始まるといってくれました。
作品は折り返し地点まできましたが、ある意味、第29回以降が『どうする家康』の「はじまり」だと思っています。瀨名(演・有村架純)や信長との別れを経た後、家康がどのように天下統一への道を歩むのか。家康の成長と完成を、松本くんがどう作り上げていくのか。近くで見られないのは残念ですが、これからは僕も視聴者の皆さんと一緒に、放送を楽しみたいと思います。
A:自身が去った後こそ本当のスタートとは、岡田さんの懐の深さを改めて感じます。『どうする家康』後半戦、ますます楽しみになってきました。
●編集者A:月刊『サライ』元編集者(現・書籍編集)。歴史作家・安部龍太郎氏の『日本はこうしてつくられた3 徳川家康 戦国争乱と王道政治』などを担当。『信長全史』を編集した際に、採算を無視して信長、秀吉、家康を中心に戦国関連の史跡をまとめて取材した。
●ライターI:三河生まれの文科系ライター。月刊『サライ』等で執筆。『サライ』2023年2月号 徳川家康特集の取材・執筆も担当。好きな戦国史跡は「一乗谷朝倉氏遺跡」。猫が好き。
構成/『サライ』歴史班 一乗谷かおり