正しい意味を理解し、適切に漢字が使えているのか、疑問を感じることが増えていませんか? 適当に漢字を使ってしまい、気付かないところで「恥をかいている」ということがあるかもしれませんね。
Google 先生やデジタルデバイスの出現により、便利になった反面、情報の中身については⼗分な吟味が必要な時代になっております。あなたの“漢字の知識”は確かでしょうか? もう⼀度、確認しておいても良いかもしれません。
「脳トレ漢字」第147回は、「克己心」をご紹介します。強い意志という意味を持つ言葉。座右の銘として使われることが多くなっています。この記事を通して、実際に読み書きなどをしていただき、漢字への造詣を深めてみてください。
「克己心」とは何とよむ?
「克己心」の読み方をご存知でしょうか? 「克」という漢字の読みが難しく感じてしまいますが……
正解は……
「こっきしん」です。
『日本国語大辞典』では、「自己にうちかつ心。欲望を抑制しようとする意志。」と説明されています。「己に克つ心」と書く「克己心」。欲望を抑制して、自分に打ち勝つということに重きが置かれていることが分かります。
類義語として、「自制心」や「自己制御」などが挙げられますが、いずれも自分の欲望を抑制することに重きが置かれていると言えるでしょう。
「克己心」の漢字の由来は?
では、「克己心」を構成する漢字を一文字ずつ見ていきましょう。「克」という漢字は、頭に兜(かぶと)をつけている人を表す象形文字であると考えられています。重い兜を身に着けて耐えている様子から、頑張って自分自身に打ち勝つという意味が生まれたそうです(諸説あり)。
「克」という漢字に、自分自身という意味を持つ「己」、そして、心臓の形をかたどってできた象形文字の「心」を組み合わせて、「克己心」という言葉が生まれました。
「克己心」にまつわる名言
自分自身に打ち勝つ精神という意味を持つ、「克己心」。座右の銘として使われるだけでなく、名言や格言としても使われることがあります。例えば、「独立心と克己心の強弱が、人の貧富の岐路となる」という名言。
これは、日本の四大財閥の一つ・安田財閥創業者の安田善次郎が残した名言です。彼は、自分の感情をコントロールできるかどうかで、幸運をつかめるかどうかが決まるということを語っています。
また、克己心の類義語として挙げられる「自制心」を使った名言に、「自制心のない者に、自由はない」というものがあります。これは、古代ギリシアの数学者・ピタゴラスが残した名言です。「ピタゴラスの定理」でおなじみの人物。自分の欲望を抑制すれば、大きな夢や目標を叶えることができると考えていたことがわかります。
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いかがでしたか? 今回の「克己心」のご紹介は、皆さまの漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか? 昔から、何かを成し遂げるには、誘惑にも打ち勝つ強い意志「克己心」が必要不可欠であると考えられていたことがわかります。
どのような状況でも、克己心を忘れずに日々努力していれば、おのずと成功の道が見えてくるのかもしれませんね。
文/とよだまほ(京都メディアライン)
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