将軍と対立し、室町幕府を倒す

上洛の決意を固めた信長は、岐阜を発ち、義昭を擁して入京。さっそく幕府を再興して義昭を将軍職につけます。しかしほどなく信長が政治上の実権を握り、義昭の権限を制約する態度に出たので、両者の関係は急速に悪化。義昭は浅井・朝倉・武田の諸氏や本願寺などを誘って、反・信長戦線の結成を策しました。

この策謀は元亀元年(1570)信長が、越前の朝倉征伐を開始したのをきっかけに具体化し、信長は苦境に陥ります。しかし、徳川家康の応援を得ることで、姉川にて浅井・朝倉の連合軍を打ち破りました。その間に浅井・朝倉両氏は勢力をもり返して近江に進出し、延暦寺の僧徒もこれに加担します。これを受けた信長は、翌年延暦寺を包囲して一山を焼き払いました(=比叡山焼き討ち)。天正元年(1573)には将軍・義昭を河内の若江城に追放し、室町幕府を倒したのでした。

次々と敵を倒し、安土城を築く

宿敵である浅井・朝倉両氏を滅ぼした信長でしたが、一向一揆には苦しんだとされます。近江・伊勢・越前・加賀の各地で一向宗徒が蜂起した一向一揆に対して、3回にもわたって討伐を繰り返し、天正2年(1574)に完全に制圧しました。

また、甲斐の武田信玄3万の大軍を率いて遠江に攻め入られると、家康・信長の連合軍は三方ヶ原に敗走させられます。しかし、信玄は翌年病没。その子・勝頼(かつより)が天正3年(1575)再び三河に進出し、長篠城を包囲します。信長は家康とともに、鉄砲隊を活用して、武田勢に致命的な打撃を与えました(=長篠の戦い)。

『長篠の戦い』古戦場。復元された馬防柵

翌年、信長は将来の飛躍に備えて、近江の安土城を築きました。七層造りの天守閣をもつ本格的な近世城郭であって、その豪華さは人々の眼を驚かせたとされます。

楽市・楽座、関所の廃止…様々な政策を行う

信長は、武力征服と並行して、集権的な封建体制を築くため、新しい政策を次々と実施したことで知られています。まずその基盤となる土地と農民を把握するために、各地に検地を行いました。古い荘園制に基づく土地関係を解体し、新たに所領を給与したのです。これによって、荘園に依拠して権力を振るっていた公家・社寺はその権威を失いました。

他方、支配圏を拡大維持するため、商品流通圏の拡大をはかろうとします。道路の整備、関所の撤廃、楽市の設置、座の廃止、通貨基準の設定などを行い、商品経済の発達を促進させました。このように、統一政権樹立の基礎を固めたのもまた、信長だったのです。

織田信長の肖像画

明智光秀の謀反に遭い、自刃する

天正10年(1582)には、信長は甲斐に出兵して武田勝頼を滅ぼし、信濃・甲斐・駿河・上野の諸国を支配下に収めました。この頃、中国の毛利輝元(てるもと)の対策を羽柴秀吉(のちの豊臣秀吉)にあたらせていました。秀吉は、高松城を包囲して毛利勢と対峙すると、信長に救援を求めます。これを受けた信長は、同年5月29日安土城を発って上洛。その際、京都・本能寺に泊ります。

しかし、6月2日の未明、明智光秀が信長を襲撃。就寝していた信長は、鉄砲の音で光秀の襲撃を知り、自ら弓をとり、槍をもち、防戦しました。しかし、最終的には火中で自刃したとされます(=本能寺の変)。

本能寺焼討之図(楊斎延一画、明治時代、名古屋市所蔵)

まとめ

群雄割拠する戦国武将の中で、抜きん出た存在であった「織田信長」。ただ、豊臣秀吉の伝記『太閤記(たいこうき)』は、信長を敵役の暴君という印象で描いています。また、記述の多くが脇役にとどまり、彼を主人公に扱う作品はみられません。それゆえ、江戸時代には今ほど人気がなかったのではないかと考えられます。現代の日本人が抱く、冷徹で悽惨な信長のイメージは、どちらかといえば近代文学のものとされます。

ただ、歴史における信長の立ち位置が「近世統一権力の先頭走者」であることは確かです。中世までの権力構造から近世権力への過渡期において、信長が統一政権の基礎を固めました。そしてその後天下は、豊臣秀吉、徳川家康へと移り変わっていきます。

※表記の年代と出来事には、諸説あります。

文/トヨダリコ(京都メディアライン)
アニメーション/貝阿彌俊彦(京都メディアライン)
肖像画/もぱ(京都メディアライン)
ナレーション/敬太郎
HP:https://kyotomedialine.com FB

引用・参考図書/
『⽇本⼤百科全書』(⼩学館)
『世界⼤百科事典』(平凡社)
『国史⼤辞典』(吉川弘⽂館)

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