正しい意味を理解し、適切に漢字が使えているのか、疑問を感じることが増えていませんか? 適当に漢字を使ってしまい、気付かないところで「恥をかいている」ということがあるかもしれませんね。
Google先生やデジタルデバイスの出現により、便利になった反面、情報の中身については十分な吟味が必要な時代になっております。あなたの“漢字の知識”は確かでしょうか? もう一度、確認しておいても良いかもしれません。
「脳トレ漢字」第123回目は、「版図」をご紹介します。時代劇や歴史小説などで、見聞きする言葉なのではないでしょうか。
脳トレ漢字の動画を見ながら“読んで書く”ことで、記憶力を鍛えながら、漢字への造詣を深めてみてください。
■「版図」はなんと読む?
「版図」という漢字、読み方に心当たりはありますか?「はんず」ではなく…
正解は……
「はんと」です。
『小学館デジタル大辞泉』では、「一国の領域、領土」または「勢力範囲」と説明されています。「縄張り」や「テリトリー」、「支配圏」などと似た意味合いの語です。主に武将や王様などが、「版図を広げる」や「版図を拡大する」などのように用いられます。ある力が及ぶ範囲を指す言葉のため、支配や統治が行われていた歴史的な文脈で使われることが多いです。
ちなみに、漢字の順番を逆にすると「図版(ずはん)」になります。「書籍や雑誌などの中にある図解や表、グラフ」を意味する「図版」と、「領土、勢力範囲」を意味する「版図」。たとえ同じ字でも、順番一つで意味が大きく異なることがわかります。
■「版図」の漢字の由来とは?
「版図」を構成する漢字を一文字ずつ見ていきましょう。「版図」の「版」の意味は「戸籍」です。「版」には、氏名などを書く“木の札”という意味があります。その木の札は古くは「名簿」や「戸籍簿」として使われていたため、転じて「版」は「戸籍」という意味も持っているのです。
また「版図」の「図」の意味は「地図」です。「図」には「物の形状を描いたもの」「物事の様子を書き表したもの」という字義があります。両者を組み合わせてできた「版図」は「戸籍と地図」のことであり、この二つが意味するのは「領域」や「勢力範囲」のことなのです。
■様々な「図」の読み方
「版図」において「図」は「と」と読みます。同様に「図書(としょ)」「意図(いと)」なども「と」と読む言葉です。また「図」の音読みで一般的なのは「ず(づ)」でしょう。「図面(ずめん)」「地図(ちず)」などが挙げられます。これに加えて「図々しい」「図体」など「ずう(づう)」と読む場合も。「版図」と合わせて、覚えておきましょう。
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いかがでしたか? 今回の「版図」のご紹介は皆さまの漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか? ぱっと見ただけでは意味が掴みづらい言葉だからこそ、構成する漢字一字一字を紐解いていくことで理解が深まります。来週もお楽しみに。
文/トヨダリコ(京都メディアライン)
アニメーション/貝阿彌俊彦(京都メディアライン)
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