正しい意味を理解し、適切に漢字が使えているのか、疑問を感じることが増えていませんか? 適当に漢字を使ってしまい、気付かないところで「恥をかいている」ということがあるかもしれませんね。
Google先生やデジタルデバイスの出現により、便利になった反面、情報の中身については十分な吟味が必要な時代になっております。あなたの“漢字の知識”は確かでしょうか? もう一度、確認しておいても良いかもしれません。
「脳トレ漢字」第111回は、「逝去」をご紹介します。誰かが亡くなったときに、よく見聞きする言葉なのではないでしょうか。
脳トレ漢字の動画を見ながら“読んで書く”ことで、記憶力を鍛えながら、漢字への造詣を深めてみてください。
「逝去」はなんと読む?
「逝去」という漢字、読み方に心当たりはありますか? 「いきょ」ではなく……
正解は……
「せいきょ」です。
『小学館デジタル大辞泉』では、「他人を敬って、その死をいう語」と説明されています。「死」の尊敬語である「逝去」は、身内の方以外の人が亡くなったときに、敬意を込めるために使用する表現です。例えば「○○様のご逝去を悼み謹んでお悔やみを申し上げます」のように弔意を示します。
また「逝去」自体が尊敬語であるため「ご逝去」は二重敬語に当たり、文法上は誤りになります。ですが、「逝去された」や「ご逝去されました」といった敬意を重ねた使い方は、故人や遺族に配慮した言葉として慣用化されており、使っても問題ありません。
「逝去」の漢字の由来とは?
「逝去」を構成する漢字を一文字ずつ見ていきましょう。「逝」は「死ぬこと」、そして「去」は「離れる、うしなうこと」という意味を持っています。
「逝」の音符「折」は「バラバラに離れること」を含意し、そこから「目の前から離れていく」すなわち「死」を表す漢字とされています。訓読みで「逝く(ゆく/いく)」とも読むため、「逝去」を「いきょ」と読み間違えてしまうかもしれません。正しい読み方は「せいきょ」ですので、注意しましょう。
「逝去」と「死去」の違い
「逝去」と間違えやすいのが「死去」です。「死去」もまた、人の死を言い表すための表現にあたりますが、こちらの場合は尊敬語ではありません。そのため、親などの身内の訃報を伝えるときに用いられます。
また、親族だけでなく、同じ会社の社員や上司、部下が他界したことを他社に説明する場合に適切なのも「死去」です。他社から見て会社内の人物は身内に当たるとみなされるため、「逝去」ではなく「死去」を用います。
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いかがでしたか? 今回の「逝去」のご紹介は皆さまの漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか? 人の死というデリケートな話題だからこそ、敬意を持った言葉遣いが求められます。そうした場面では、より一層漢字の読み間違いのないようにしたいものですね。
来週もお楽しみに。
文/トヨダリコ(京都メディアライン)
アニメーション/鈴木菜々絵(京都メディアライン)
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