まだ「目覚めて」いない頃の、若き日の義時(演・小栗旬)。

わが国最初の武家政権はいかにして築かれたのか? いよいよ第1話が放映された『鎌倉殿の13人』について、鎌倉時代が大好きな面々が語り尽くす。

* * *

ライターI(以下I): 第一話、始まりました!

編集者A(以下A):ありきたりですが、時代が変革する際の躍動感のようなものを強く感じました。物語は1175年、北条時政(演・坂東彌十郎)が京都の大番役から戻ってくる場面から始まり、時政のもとを訪れていた三浦義澄(演・佐藤B作)、義村(演・山本耕史)父子、工藤祐経(演・坪倉由幸)など、それぞれ重要な人物も登場。テンポよく場面が展開して、引き込まれる作りになっていましたね。

I:テンポがいいのはもちろんですが、時政と三浦義澄がともに伊東祐親(演・浅野和之)の女婿であることをしっかり説明したり、頼朝が読経の日々を過ごしていることなど重要なこともしっかり織り込まれていました。

A:義時の兄である宗時(演・片岡愛之助)が時の権力者平家に不満を持っていること、そのために頼朝(演・大泉洋)を利用しようと思っていることなどの情報がスッと入ってくる見事な構成でした。〈これよりわが弟、佐殿(すけどの)の手足となって源氏の再興に尽くします〉といって義時(演・小栗旬)を慌てさせ、〈俺は佐殿の力を借りて平家をぶっ潰すぜ〉と。時代はこうして動いたんだなと感じ入りました。頼朝が伊東祐親の娘である八重(演・新垣結衣)との間に男子を儲け、そのことが勘気に触れるわけですが、頼朝を匿ったのが宗時という設定でした。

I:八重さんがとてもかわいらしくって……。

A:頼朝が自身の後ろ盾として有力な豪族の娘を狙って八重と結びついたのか、はたまた純粋に惹かれ合ったのかはわかりませんが、頼朝が伊豆に流されてから15年。頼朝にも焦りのようなものはあったかと思いますが、いろいろな意味で八重さんの今後の動きから目が離せません。

すべての登場人物が今後重要人物に

I:畠山重忠(演・中川大志)、和田義盛(演・横田栄司)が北条の屋敷に立ち寄りました。

A:いわゆる坂東武士が今後順次登場してくると思われますが、みな平家の世をもやもやした思いで過ごしていることが伝わってきました。面白かったのは重忠が〈小四郎殿は平家の世がずっと続いてもいいというのか〉と義時に問うた際の答え。義時は〈だってけっこう穏やかに過ごせているではないですか〉とのたまいました(笑)。

I:重要な仕事を任されず、漫然と生きていると往々にしてそういう感じになりがちですよね。義時の現状をよく表しているやり取りだと思いました。第1話でこんなやり取りをしている義時が今後どう成長していくのか、しないのか。このドラマの見どころのひとつだと感じました。

A:まだまだ兄の宗時に翻弄されている感いっぱいでしたが、ほんとうに今後の義時が楽しみですね。そしてここまで登場した人物はすべて今後の重要人物になっていくのも楽しみだなあ。

ひとつの恋愛が歴史を大きく動かした

頼朝(演・大泉洋)の気をひくため蹴鞠を始めた政子(演・小池栄子)。

I:八重役の新垣結衣さんもかわいいですが、北条政子役の小池栄子さんもなんだかキュンとくるのですけど(笑)。

A:北条家に匿われた頼朝と出会ってしまうという設定でした。実際にどこでどう出会ったかはわかりませんし、八重のときと同様に頼朝が有力豪族の娘と関係を築きたいということで接近したのかどうかもわかりませんけど、政子の恋が印象的でした。

I:頼朝の気を引きたくて蹴鞠を始めてみたり、いじらしい政子がかわいく見えてしょうがありません(笑)。

A:頼朝が蹴毬が得意だと腕前を披露しますが、京で雅な暮らしも経験していたことを知らせてくれます。この場面を見て、どこにでもある男女の恋バナが、時代を大きく変革させる原動力になったということが強く印象づけられました。なんかすごくないですか?

I:史上もっとも歴史を動かした恋愛ってことになるんですかね?

A:歴史の面白さってこんなところにあると思います。個人的にはふたりの〈いつも馬に乗ってぶらぶらしている〉と語るシーンが印象的でした。流人とはいえ行動は自由だった頼朝の境遇を端的に示す場面ですし、一見コミカルのようでいてツボを抑えているから、「すごい!」と膝を打ちました。 それともう一つ。頼朝に、あの年でなぜまだ嫁に行っていないのか問われた義時が〈身内のことを悪くはいいたくありませんが、気性はいたってきつく、さほど賢くもありません〉という台詞は噴き出してしまいました。

I:コミカルといえば、頼朝を匿っていることを父時政に伝えるシーン。再婚を子どもたちに報告して、正月と三島明神の祭りがいっぺんに来たと無邪気にはしゃいでいた場面です。宗時が〈日の本将軍将門のように坂東で乱を起こすのです〉というと時政が〈最後は首ちょんぱじゃねえか〉と。おかしくって私はのけぞりました。

A:ここもけっこう重要なことをいっているのですよ。将門といえば、坂東で挙兵して新皇を名乗った武将です。将門が討たれたのが天慶3年。『鎌倉殿の13人』劇中の時代から235年前のことです。

I:中央から独立しようと試みた将門が討たれて230年以上経っても坂東はいまだ中央の支配を受けていたということですね。

A:現代から235年前は徳川家斉が11代将軍に就任した年ですよ。めちゃくちゃ長いです。坂東はそれだけ我慢してきたともいえます。

I:ところで、〈馬に乗ってブラブラ〉とか〈首ちょんぱ〉とか言葉遣いが斬新ではないですか?

A:私はぜーんぜん気になりません。実は1979年の『草燃える』の時も台詞回しが現代言葉過ぎないかといわれたようですが、もうそんなことを話題にするのはナンセンス。時代の骨格をしっかり押さえていれば、あとは小学生でも楽しめる内容にしてほしいと思います。

I:さて、八重と頼朝の間に生まれた千鶴丸(演・太田恵晴)が伊東の家人の善児(演・梶原善)によって殺害されました。なんとも切なく悲しいシーンになりました。

A:清盛に忠実な伊東祐親がそれだけ頼朝に怒っていたということでしょう。でも愛息を殺害された頼朝が反撃に出ます。祐親殺害を工藤祐経に命じます。「おおーー、そう来たか!」 となんだか興奮のシーンでした。今日はそれだけ言っておきます。今後の展開が楽しみでしょうがありません。

大河ファンのツボを抑えたラスト数分のシーン

I:ラストの数分に貿易港大輪田泊を背景にした平清盛(演・松平健)、巴御前(演・秋元才加)と山中で稽古する木曽義仲(演・青木崇高)、奥州の藤原秀衡(演・田中泯)は中尊寺とともに登場しました。さらに源義経(演・菅田将暉)、日本一の大天狗と称された後白河法皇(演・西田敏行)が予告編風に紹介されました。

A:ラストのこの数分で初回のワクワク感がマックスになりました。大河ファンのツボを押さえた演出に喝采です! 終わった瞬間に次回が待ち遠しくなる展開、小学生のころを思い出します。

I:平清盛役は『草燃える』で北条義時を演じていた松平健さん。オールドファンにとってはたまらない配役ですね。

A:何はともあれ、大河ドラマが面白いと一年が活気づきます。わが国で初めて誕生した武家政権の成り立ちをぜひ子供たちにも見てほしいですね。

義時が出会った頼朝は、流人として読経の日々を過ごしていた。

●編集者A:月刊『サライ』元編集者(現・書籍編集)。歴史作家・安部龍太郎氏の『半島をゆく』を足掛け8年担当。初めて通しで見た大河ドラマ『草燃える』(1979年)で高じた鎌倉武士好きを「こじらせて史学科」に。以降、今日に至る。『史伝 北条義時』を担当。
●ライターI:ライター。月刊『サライ』等で執筆。『サライ』2022年1月号 鎌倉特集も執筆。好きな鎌倉武士は和田義盛。猫が好き。

構成/『サライ』歴史班 一乗谷かおり

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