■頑固、気骨、こだわり、わがまま、どこがどう違うのか?

サライ世代と呼ばれる年齢になりますと、徐々に体力、筋力の衰えを実感するようになります。これも致し方のないことと諦めつつも、体力、筋力を維持したいという思いが強くなり、各々が工夫をし、早朝の散歩とか、簡単な筋トレ、あるいは月数回の登山など、それなりに努力(私の場合は悪あがきか…)を致しているのではなかろうかと…。

年齢とともに進行するフィジカルな衰えは、日々の生活に大きな影響を及ぼしかねないことから、自分でも意識して対策も講じていると思います。しかしながらメンタルの衰えは、ある程度の自覚はあっても、忽ち生活に影響がないことから対処を怠ってしまいがちなのでは?

しかし、「やる気にならない」「行く気にならない」「会う気にならない」「読む気にならない」なんてことが嵩じれば、“年寄り臭くなる”一方です。気力の衰えには要注意、フィジカルの衰えへも大きな影響を及ぼしかねないので、十分な注意が必要ですよね。もう一つ、年齢とともに衰えを感じることとして“柔軟性”も挙げられるのではないでしょうか?

身体が硬くなるのに合わせるように、思考力までもが柔軟性を失ってきている… 何てことを感じておられる方もおいでになるかもしれませんね。思考の柔軟性が衰えると、人間関係において様々な弊害が生じます。

例えば、「環境の変化を受け入れられない」とか「考え方やモノの見方が変更できない」など、場合によっては周りの人との摩擦が大きくなってしまいます。また、自分が間違っていることに気が付いても、素直に「ごめんなさい」とか「すみません」と言えなくなってしまいます。

こうした素直さを失うことは、周りから人を遠ざける事になってしまいます。「頑固」「気骨」「こだわり」「わがまま」を混濁しないためにも、思考力の柔軟性は大切なのではないでしょうか?

■渋沢栄一の心を読み解く

今回取り上げました渋沢栄一の言葉は、我々サライ世代にとっては、思考力を柔軟に保ち「頑固」「気骨」「こだわり」「わがまま」を混濁することのないようにしてくれそうですね。

■渋沢栄一、ゆかりの地

第三回目の「渋沢栄一、ゆかりの地」では、渋沢栄一と徳川慶喜の出会いの地となった、京都の「元離宮二条城」と「若狭小浜藩邸跡」をご紹介します。

歴史上において「元離宮二条城」といえば、大政奉還の意思表明も行った場所として有名です。同時に、ここは徳川慶喜が第15代将軍に就任した城でもあります。その3年前から、彼が将軍後見職として過ごした場所が「若狭小浜藩邸跡」です。ここは幕府の活動拠点として幕閣要人の協議が行われ、大政奉還の構想もここで練られたと言われています。NHK大河ドラマ『青天を衝け』では、栄一がここで働く様子も描写されました。

この京都の地で慶喜と出会い、家臣となった栄一は公務に邁進しました。ここでの働きが、その後のフランス渡航や官僚としての出世の道筋を掴むきっかけとなったと言われています。

尊皇討幕・攘夷鎖港を論じていたが、一橋家の家来となって幕臣に加わり、フランスに渡航する… 幕末という変化の時代における、彼の行動からは、「環境の変化に対応して、自らの考え方を更新していく」強さが感じ取れます。

渋沢栄一という一人の人生を通すと、有名な京都の名所がまた違った景色に感じられるのではないでしょうか?

「元離宮二条城」
住所:京都市中京区二条通堀川西入二条城町541
アクセス:地下鉄京都駅から烏丸線で6分、烏丸御池駅で東西線乗り換え2分、二条城前駅下降、徒歩4分
開館時間:午前8時45分~午後4時(閉城 午後5時)
休城日:年末 12月29日~31日
入館料:一般1,030円(二の丸御殿観覧料含む)

※本丸御殿は保存修理工事中のため、2021年現在は見学できません。工事終了は2024年春以降の予定です。
※京都府緊急事態措置に伴い、2021年4月25日(日)から5月31日(月)まで臨時休城しています。

「若狭小浜藩邸跡」
住所:京都市中京区西ノ京池ノ内町19-9
アクセス:地下鉄京都駅から嵯峨野線で7分、二条駅下車、徒歩6分
石碑のみ、見学自由

肖像画/もぱ
文・構成・アニメーション:貝阿彌俊彦・豊田莉子(京都メディアライン)
HP:http://kyotomedialine.com
Facebook:https://www.facebook.com/kyotomedialine/

 

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