文/印南敦史

いうまでもなく、「呼吸(ガス交換)」を担う肺は、私たちが生きていくうえで重要な意味を持つ器官だ。

とはいえ呼吸は、意識しなくてもできてしまうもの。そのため、健康を考えるにあたっては、ついおざなりにしてしまいがちかもしれない。

順天堂大学医学部教授である『最高の体調を引き出す超肺活』(小林弘幸 著、末武信宏 監修、アスコム)の著者は、本書の冒頭でその点を指摘している。

肺の機能は20代ごろから加齢とともに低下していくが、その衰えは自覚症状として現れにくい。ちなみに肺の機能低下とは、細胞が壊れたり炎症を起こしたりしている状態である。

機能が低下してしまうと肺胞は酸素をうまく取り込めなくなり、重症化すれば一生酸素ボンベを手放せなくなることもあるそうだ。

しかも細胞は、一度壊れてしまうと再生できない。だとすれば、加齢による肺の機能の衰えはどうにもできないのだろうか? 答えはNOで、肺の機能は何歳になっても高めることができるのだという。

肺胞そのものを復活させることはできませんが、呼吸する力を強化し、血液に取り込む酸素量を増やすことはできるのです。
その方法として考案したのが、本書で紹介する「肺活トレーニング」です。
(本書「はじめに」より引用)

「肺活トレーニング」は、さまざまな呼吸筋の柔軟性を高めることによって、胸郭(骨や胸骨、背中の胸椎に囲まれたかご状の骨格)がスムーズに拡張するようにしていくメソッド。これを行うことにより、ゆっくりと深い呼吸をできるようにするわけだ。

肺活トレーニングをすると呼吸1回の換気量が増えるため、血中の酸素濃度を高めることができる。また肺を鍛えることには、自律神経の視点からも大きなメリットがある。呼吸こそ、自律神経を直接コントロールできる数少ない手段だというのだ。

だが、そもそも肺活トレーニング、すなわち「肺を鍛える」とはどういうことなのだろうか?

著者によればそれは、いまある肺胞を最大限に活用し、血液に酸素を取り込む量を最大化させることを指す。

肺胞の数や機能が同じでも、呼吸の質を変えれば、血液に酸素を取り込む量を増やすことができるというのだ。

ご存知のとおり、肺は「胸郭」と呼ばれる、胸骨、肋骨、胸椎(背骨)に囲まれたカゴ状の骨格の中に心臓とともに収まっている。肺そのものには膨らんだりしぼんだりする機能はなく、動くのは胸郭を取り巻いている「呼吸筋」と呼ばれる筋肉だ。呼吸筋が動くことで胸郭が拡張や収縮をし、その動きに連動して肺も膨張や収縮が可能になるわけである。

呼吸筋には、斜角筋、肋間筋、前鋸筋、脊柱起立筋、横隔膜などがあります。
斜角筋は胸郭の上側、肋間筋は胸郭の前面から横面、前鋸筋は胸郭の横面、脊柱起立筋は胸郭の後面についていて、それぞれ胸郭が拡張する動きをサポートしています。
横隔膜は、胸郭の底にある、胸とお腹を隔てている筋肉の膜です。
これらの筋肉が柔軟に動くと、胸郭の可動域が広がり、肺の中にたくさんの空気を入れることができるようになります。
(本書50ページより引用)

息を吸うとき、胸郭の呼吸筋は伸び、横隔膜は縮んで下方向に下がる。その結果、肺は横隔膜に引っぱられて膨らみ、膨らんだ肺のなかに空気が入ってくる。

逆に息を吐くときは胸郭の呼吸筋が膨らみ、横隔膜は伸びて上方向に上がる。すると肺は横隔膜に押し上げられて小さくなり、肺のなかの空気は外に押し出されることになる。

このように肺は、横隔膜などの呼吸筋が収縮することによって空気を取り込んだり吐き出したりしているのだ。

「肺を鍛える」とは、呼吸筋の柔軟性を高めて、スムーズに胸郭が拡張するようにすることを意味します。
胸郭の動きがスムーズになると、ゆっくりと深い呼吸ができるようになります。
(本書51ページより引用)

そのため、肺胞から取り込める酸素量を増やすことができるわけである。それを知ると、肺活トレーニングがいかに大切なことであるかがわかるのではないだろうか?

本書では、肺活力を上げるために覚えておきたいさまざまな知識や手段が紹介されている。肺活トレーニングのやり方についても写真入りでわかりやすく解説されているため、すぐに活用することができるだろう。

体調をよりよい状態にするために、ぜひとも活用したいところだ。

『最高の体調を引き出す超肺活』

小林弘幸 著、末武信宏 監修
アスコム

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文/印南敦史 作家、書評家、編集者。株式会社アンビエンス代表取締役。1962年東京生まれ。音楽雑誌の編集長を経て独立。複数のウェブ媒体で書評欄を担当。著書に『遅読家のための読書術』(ダイヤモンド社)、『プロ書評家が教える 伝わる文章を書く技術』(KADOKAWA)、『世界一やさしい読書習慣定着メソッド』(大和書房)、『人と会っても疲れない コミュ障のための聴き方・話し方』『読んでも読んでも忘れてしまう人のための読書術』(星海社新書)などがある。新刊は『書評の仕事』 (ワニブックスPLUS新書)。2020年6月、「日本一ネット」から「書評執筆数日本一」と認定される。

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