光秀(演・長谷川博己)と秀吉(左/演・佐々木蔵之介)の対立が際立ってきた。

第42話終了後の予告編で、衝撃的な台詞が耳に飛び込んできた。いったい本能寺の変はどのような力学で相成るのか?

【前編はこちら

* * *

ライターI(以下I):光秀(演・長谷川博己)と羽柴秀吉(演・佐々木蔵之介)の関係がここ数週の間にどんどん悪化してきました。

編集者A(以下A):荒木村重(演・松角洋平)の離反をきっかけにさらに溝が深まったという印象です。光秀と秀吉は織田家中で出世を競い合う好敵手という関係でしたが、ここに来て、お互いを敵視している雰囲気ですね。劇中では、そこに至る背景が端折られているので、補足します。例によって三重大の藤田達生教授の『明智光秀伝 本能寺の変に至る派閥力学』の受け売りですが……。

I:はい。

A:光秀と秀吉が織田家中の出世頭というのは事実ですが、出世するにつれて、お互いそれぞれの派閥が形成されていきます。まず織田家との関係ですが、光秀は劇中でも採用されているように帰蝶のいとこ説があります。また光秀の義妹か妹ともいわれる「御ツマキ」という女性が信長の側室であったともいわれています。つまり信長とは太いパイプがあったということです。しかも、信長が毒殺した弟信勝の嫡男信澄には娘を嫁がせています。

I:なるほど。一方の秀吉はどうだったんでしょう。

A:秀吉は、信長五男の秀勝を養子として迎えています。わかりやすくいうと、羽柴家を織田家に進上するということ。さらに秀吉は、黒田官兵衛などを与力とするなど、派閥を固めていきますし、光秀も細川藤孝(演・眞島秀和)との関係が婚姻によって強化されますし、筒井順慶(演・駿河太郎)も与力になります。

I:私も藤田教授の本は読みましたが、195ページの〈本能寺の変直前の光秀・秀吉派閥関係図〉がわかりやすかったです。それを踏まえて、今週の光秀と秀吉のやり取りをみると、「なるほどね」と感じ入ることができました。

藤田達生著『明智光秀伝 本能寺の変に至る派閥力学』より

A:〈お主は説得の妨げになる。来るな!〉〈来るなとは何事じゃ〉――。荒木村重の説得をめぐってのやり取りは緊迫・緊張のシーンでしたね。このやり取りの背景には、光秀派閥と秀吉派閥の激しい対立があったということです。

I:ところで、今週はついに信長が光秀に暴力をふるってしまいました。

A:迎え入れる時はいつもにこやかなんですけどね。ところが光秀が今週も信長の心を逆なでします。信長に内緒で正親町天皇に会っているというだけでもいけないのに、会話の内容をかたくなに話そうとはしませんでした。

I:あれでは信長が怒るのもいたし方ないと思ってしまいました。しかし、信長の〈三河の者が尾張の者を睨む目をしていた〉という台詞は三河出身の私にとって衝撃でした。確かに三河と尾張の間には少なからぬ溝はありますが・・・・・・。

A:津軽と南部みたいな感情でしょうか?2005年の「愛 地球博」で三河と尾張の溝は解消されたと思っていました。しかし、このふたりの関係は本当に不思議です。厳しい直言をする光秀をにこやかに迎える信長。毎度苦々しい思いを抱くことになってもそれを繰り返す。

I:一方の光秀もいつも〈私が信長様を説得します〉という話を他者にしてしまう。自分は信長からの信任が厚いと思っているのでしょう。

家康(演・風間俊介)からの言伝を光秀に伝える三河の忍、菊丸(演・岡村隆史)。

【予告編で飛び出した帰蝶の衝撃的な台詞。次ページに続きます】

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