夕刊サライは本誌では読めないプレミアムエッセイを、月~金の毎夕17:00に更新しています。月曜日は「健康・スポーツ」をテーマに、野球解説者の山本昌さんが執筆します。
文/山本昌(野球解説者)
野球解説者の山本昌です。いよいよゴールデンウィークが始まりますね。今回は楽しい連休スタートということで、体や心のトレーニングなどとは少し離れて、気分転換! 僕が趣味で楽しんでいることをご紹介したいと思います。
■僕は多趣味というよりは凝り性なんです!
僕はよく「山本さんは多趣味ですね!」と言われます。テレビや雑誌などのインタビューで趣味のお話をすることもよくあるので、それでそういった印象があるのかもしれません。でも、僕は自分が多趣味だとは思っていないんです。
なぜかというと、子供のころから好きなことを、変わらずに追及しているだけだから。つまり、凝り性なんですね。
たとえば、クワガタの採集や飼育はまさにそうで、子供の頃に昆虫採集に行ったことから始まっています。現役中、クワガタ用の部屋を作っていたくらい熱中していたこともありました。今は少しお休みしているのですが、引退後にテレビのロケ企画で子供たちと一緒にクワガタ採集に行ったことがあります。僕自身も童心にかえり、本当に楽しかったです。
それからラジコン。山本昌と言えばラジコンと連想される人も多いのかな?と思いますが、ラジコンとの出会いも子供の頃でした。お年玉を貯めて買ったのが最初ですが、本格的にやり始めたのは1995年、プロ野球選手になってからでした。
この年はヒザの手術をしたためのリハビリ期間があり、そのときはできることも限られていました。午前中で練習は終わってしまい、時間があったので近くにあったラジコンのサーキットに立ち寄ったのがきっかけでどんどんとのめりこんでいきました。
1996年からはチームメイトでクルマ好きな山﨑武司と一緒に「山山杯」というラジコンの大会も開催するようになりました。この大会は10年間開催をしたのですが、年々規模が大きくなり、最後の何年かは世界大会級の規模になって、外国からも参加者が来るような大会に成長をしました。
■趣味を楽しむにはオン・オフの切り替えが大切
僕は「趣味を楽しむために何が大切かという順番付け」を大切にしています。それはオン・オフをはっきりさせるということです。
一番大切なのはやはり「仕事」です。
仕事を頑張っているからこそ、ご褒美の楽しみとして趣味があるのだと思います。逆をいうと、趣味の時間をより充実したものにするために、仕事を一所懸がんばるともいえるかもしれませんね。
僕は現役終盤、ラジコンを封印して野球に集中する日々を過ごしていたので、何年もラジコンはしていなかったのですが、現役引退を機に再開しました。
しかし、引退後も野球解説や講演活動など、忙しく仕事をしているので、なかなかゆっくりと取り組むことができず、すき間時間を見つけて楽しんでました。
それが、あの「山山杯」が今年(2018年)1月に復活開催をしたんです。12年ぶりの開催ということで、当日は100名を超える人が参加してくれました。春季キャンプ取材前の忙しい時期でしたが、ラジコン仲間や大会会場のスタッフのみなさん、メーカー各社さまなどの協力をいただき、大成功で終えることができました。本当に楽しい大会でした。
引退後は、ありがたいことに僕が趣味としていることでお仕事をいただけるようになりました。ラジコンはもちろんですが、競馬に関する仕事も増えました。
競馬は現役時代から好きだったのですが、当時は馬券を買ったことはありませんでした。僕は馬の血統に「ロマン」を感じて好きになりました。遠征時に暇つぶしにやっていた「ダービースタリオン」というゲームに熱中したのがきっかけだったのですが、まさかそれが引退後に仕事につながるとは思ってもみませんでした。
競馬場でのプレゼンターやトークショーゲスト、競馬番組のゲスト、ラジオ番組の競馬コーナーなど様々なものがありましたが、どれも好きな競馬ということもあり、楽しい仕事でした。
しかし、好きな趣味とはいえ、それが仕事になると別物です。好きなことをしゃべるだけでは仕事とはいえません。しっかりオンとオフの区別をし、野球の解説と同じように、楽しさ、すごさをわかりやすく伝えられるように心がけて準備をしています。
趣味が仕事につながるという、こんなありがたい状態になったのも、長く追求してきたご褒美かもしれません。過去の連載記事でも何度も書いていますが、やはり何ごとも続けていくことが大切なんだと思います。これからも僕は楽しみながら、とことん趣味を突き詰めていきますよ!
文/山本昌(やまもと・まさ)
昭和40年、神奈川県生まれ。野球解説者。32年間、中日ドラゴンズの投手として活躍し、平成27年に引退。近著に『山本昌という生き方』(小学館刊)。