脳梗塞、心筋梗塞、肺塞栓など、突然症状が起き、短時間のうちに亡くなってしまう“突然死”。糖尿病治療の名医であり、生活習慣病の予防にも詳しい医学博士・板倉弘重先生によると、その要因のひとつとなるのが血管にできるかたまり“血栓”だといいます。ですが、その血栓は外から見ただけではわからず、自覚症状もありません。だからこそ、血栓を予防することや、できても溶かして流すことがとても重要になります。
血栓をつくらないためには高血圧の予防も欠かせません。その際にポイントとなるのが塩の使い方。外食やおやつ、日常の食事のなかで何を選ぶか、どう食べるかが重要となります。そこで今回は、板倉先生監修の『血栓をつくらない!』(宝島社)から、塩分を摂りすぎないようにする日常の食べ方のコツをご紹介します。
監修/板倉弘重
主食はパンよりご飯に!
「隠れ塩分」がある食品の代表格がパン。6枚切りの食パンで0.8g、フランスパン2切れで1gの塩分が入っています。これにバターをつければ、塩分はさらに上乗せされることに。一方、白米や玄米は無塩です。パンをご飯に変えるだけで塩分調整ができます。
味噌汁は具だくさんにして、満足度アップ
近年、共立女子大学らの研究結果から、味噌汁は1日2杯(1杯につき味噌16g)までなら血圧を上昇させることはないという結論が出ています。具だくさんにすれば、汁を減らせて満足度も高まるので一石二鳥です。
肉類を食べるときはソースに注意!
肉を食べるなら揚げ物よりもシンプルな焼き物、さらに味付けも糖質や塩分が多いステーキソースではなく、少しの塩・こしょうやハーブなどで食べましょう。
ラーメンなどの麺類はつゆの飲み過ぎに注意!
ラーメン、うどん、そばなどの麺類は、塩分の高い食事の代表格。麺類の塩分のほとんどはつゆに含まれているので、飲み過ぎないように。しょうが、海藻など血圧を下げる食材と合わせるのも有効です。
餃子の皮は薄く、つけダレに工夫を
ジューシーな肉汁がおいしい餃子はついつい箸が進んで食べ過ぎてしまいます。餃子で注意するのはつけダレです。しょうゆをたっぷりつけて食べると、気づいたら塩分の摂り過ぎに。お酢と塩・こしょうなど、塩分を控えたつけダレで食べるのがおすすめです。また、手づくりするなら皮を薄くすると糖質の摂り過ぎも防げます。
ハムなどの加工品は意外と塩分が多い
加工食品には、かなり塩分が使われています。カップ麺やレトルトカレーなどのインスタント食品はもちろん、ハム、チーズ、かまぼこなどにも少なからず塩分が。塩分だけではなく、体によくない添加物が使われていることも多いので、できるだけ控えましょう。
おやつは無塩・無糖のものを
間食も、ついうっかり塩分・糖分が多くなりがち。さらに、市販品の甘いお菓子は、トランス脂肪酸など体によくない脂肪分が多い場合も少なくありません。よく注意して選びましょう。おすすめは、ミネラル豊富なナッツ類やさつまいもなど。糖分の少ない高カカオチョコレートもうってつけです。
追いしょうゆをやめる
食卓に塩やしょうゆを置いて、自分好みの味に調整して食べる人は少なくありません。でも、その「追い塩」「追いしょうゆ」は、ほぼ余分な塩分です。追い調味料は控え、素材の味を楽しみましょう。
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『血栓をつくらない!』(板倉弘重 監修)
宝島社
板倉弘重(いたくら・ひろしげ)
医学博士。芝浦スリーワンクリニック名誉院長。東京大学医学部卒業。同大学第三内科講師、国立健康・栄養研究所臨床栄養研究部長を経て、現職。赤ワインなどに含まれるポリフェノールの抗酸化作用を世界で最初に発見。著書、監修書は『日常生活のちょっとした工夫で血圧、血糖値は下がる!』(アントレックス)、『大丈夫! 何とかなります 血糖値は下げられる』(主婦の友社)、『医者もやっている血圧の下げ方』(宝島社)など多数。