とにかくカッとなり声を荒立ててしまう、イライラした後に落込む、急に顔が熱くなったり、汗が止まらなかったり、どうしてこんなに頭が痛いの? など、30~40代の「プレ更年期」や、40~50代の「更年期」の女性には、自分ではどうにもならない不調があらわれることがあります。
実は、その不調には漢方がよく効くことをご存知でしたか? 私の不調にも漢方が効くのか知りたい! どうすれば根本解消できるの? そんな女性たちの疑問に漢方の専門家が解説します。
第70回のテーマは、「ひざ痛」です。医師の木村眞樹子さんに教えてもらいました。
ひざ痛がつらいのに、家族に理解されず苦しい
芳子さん 53歳女性 パートの方からご質問をいただきました。
「50歳になったころから、ひざの痛みに悩んでいます。もともと背が高く体重も人より重めです。サポーターを使ったり、靴を変えたり、カイロプラティックに通うなどいろいろ試していますが、どれもあまり効果を感じません。
ひざ痛があると、何をするにも億劫です。愛犬の散歩や食事作りを80代の義母に頼まざるを得ないのですが、義母は高齢なのにとても元気で、私のつらさを理解してくれません。それどころか、『病は気から!』『働かざる者食うべからず!』などと悪口を言われれるようになりました。
まだ53歳なのにひざ痛で動けないなんてとてもつらく、悲しいです。急なひざの痛みを改善する方法はあるのでしょうか? 」
ご質問ありがとうございます。ひざ痛の症状は歩きづらいだけでなくストレスも溜まるので、精神的にもつらいですよね。芳子さんの場合、それがご家族との軋轢の一因にもなっているようです。
実はそのひざ痛は、更年期が原因の可能性があります。今回は、ひざ痛の原因と簡単に行えるセルフケアについて解説します。
ひざ痛は更年期のエストロゲンの減少が原因
更年期を迎えると、体に様々な変化があらわれますが、「ひざ痛」も代表的な症状のひとつです。
45歳を過ぎたあたりから女性ホルモンの分泌は減少し、閉経へと向かいます。それに伴う体の不調が更年期症状です。
更年期を迎えると女性ホルモンのエストロゲンが急激に減少します。エストロゲンは関節にとって重要な軟骨の成分であるコラーゲンの生成にも関わっていて、軟骨が不足するとその影響がひざ痛として出てきます。
また、女性の筋肉量の少なさも、ひざに負担をかける原因になります。本来クッションになるはずの筋肉が少ないと、関節の負担も増してしまいます。変形性ひざ関節症にもなりやすく、関節症状で悩む女性は男性に比べ2倍近くにのぼるというデータもあります。階段の昇り降りや立ち上がる瞬間など、足腰に負担がかかる瞬間にひざ痛は自覚しやすく、生活の質に影響を及ぼします。
次は、そんなひざの負担を少しでも和らげて痛みを改善するために役立つセルフケアをご紹介します。
ひざ痛を和らげる4つのセルフケア
更年期の不調の治療法のひとつに、ホルモン補充療法があります。これは、不足しているエストロゲンを薬で補い、ホルモンバランスの乱れを和らげていく方法です。効果もありますが、同時に副作用などのリスクもありますので、通院して治療する必要があります。
ホルモン療法は怖いという方や、通院する時間がないという方には、漢方の考え方によるアプローチがおすすめです。
3-1.関節をしっかり温める
更年期のひざ痛は、関節をしっかり温めることで痛みが和らぐ効果が期待できます。
関節が痛いとき、「温めるのか冷やすのか」という部分で迷う方もいますが、基本的に患部を冷やすのは捻挫や打撲など、急性の場合です。慢性の関節痛の場合は温めましょう。
また、冬場はひざ痛などの関節痛が起こりやすく、冷えによって悪化しやすくなります。なるべく入浴やサポーターをつけて温めるなど、血行を促進することを意識しましょう。
体を温める食材としてはショウガが有名ですが、ゴボウやレンコンなどの他の根菜類も体をポカポカと内側から温めてくれます。根菜は水分が少なく、ビタミンや血液をつくるために必須なミネラルが豊富です。体温を維持するには最適なため、ひざ痛の緩和にもつながります。
3-2.ひざの負担が増す姿勢を避ける
ひざに負担をかける姿勢を避けることで、悪化を防ぎましょう。ひざに悪い姿勢は、正座が挙げられます。
また、和式便器のようなしゃがむ体勢や、無理のあるストレッチもひざにとってはよくありません。
加えて、歩き方についても日常から正しい姿勢を意識しましょう。背筋を伸ばし、おなかを引き締めるのが基本です。あごを引き、歩幅はひざが軽く曲がる程度に。足の着地はかかとから行います。そして、つま先で地面を蹴ります。歩行運動はとても大事です。運動不足を改善することによって、ひざ痛のリスクを減らせます。
3-3.ひざ痛に効くツボを押す
ひざ痛を和らげる効果が期待できるツボは人体に複数あります。ひざ痛を改善するツボを押して、ひざの痛みを改善しましょう。
・内膝眼(ないしつがん)、外膝眼(がいしつがん)
ひざのお皿の下にあるくぼみの部分の内側と外側です。痛みを感じるくらいの強さで3秒くらい押し、3秒休みます。それを3分間繰り返します。
・委中(いちゅう)
ひざの裏側の中央にあります。ひざを少し曲げると押しやすくなります。1日3回程度、お風呂あがりなどに行うといいでしょう。
・梁丘(りょうきゅう)
ひざのお皿の外側の骨から、指3本分ほど上にあるツボです。ひざ痛のほか、胃痛や下痢止めに使われることもあるツボです。
<ツボ押しのポイント>
ツボは強く押しすぎないことが肝心です。からだと心をリラックスさせる働きもあり、日常的に習慣化すると健康維持にも役立ちます。
3-4.漢方薬を飲む
「長年ひざ痛に悩んでいる」
「病院をいろいろと回ったがなかなか改善しない」
「西洋薬には抵抗感がある」
そういったひざ痛の深刻な悩みを抱えている方には、関節痛、神経痛などの治療で医療現場でも使われている漢方薬がおすすめです。自然界に存在する植物や鉱物を組み合わせたものが漢方薬で、西洋薬よりも副作用が少ないことで知られます。
つらさを一時的に和らげごまかすだけの対処療法とは違い、根本的な解決をめざすのが漢方の考え方です。いつまでも症状で悩みたくないという方にとって、救いの手になってくれます。
「面倒な食事療法や運動などを続けるのは嫌」という方も、症状や体質に合う適切な漢方薬を飲むだけなので、あきらめずに続けられます。
<ひざ痛に悩む女性におすすめの漢方薬>
・薏苡仁湯(よくいにんとう) :体力が中等度くらいの方に向いている漢方薬です。関節痛や神経痛に用いられ、血行促進の効果があります。
漢方薬を選ぶ際には、体質に合うものを選ぶことが大切です。からだに合わない漢方薬は副作用のリスクもあるので、素人知識で選ぶのではなく、きちんと漢方薬の専門家である医師や薬剤師の意見を聞き、選んでもらいましょう。
「漢方薬は高いイメージがある」という方には、医薬品の漢方薬がおすすめです。スマホで楽に相談できる「あんしん漢方」のようなサービスも人気を集めています。
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ひざのセルフケアは若いうちから始めましょう
ひざ痛は更年期女性の悩みのひとつですが、今回ご紹介したセルフケアや漢方薬の助けを借り、改善をめざすことができます。なお、漢方薬を服用する場合は、ご自身に合った漢方薬を知るためにも専門家に相談するとよいでしょう。
更年期のうちからきちんとひざを気遣っていれば、老年期に差が出てきます。つらいひざ痛を改善して、ストレスのない過ごしやすい毎日を送りましょう。
<この記事を書いた人>
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